(月刊「正論」8月号より)
「運がいい」と言われてきた首相、岸田文雄だが、「終わりの始まり」が到来したかもしれない。
通常国会会期末に、自ら衆議院の「解散風」を吹かせながら、結局、見送りを表明したからだ。最近は「現役政治評論家」と揶揄される自民党元幹事長、石破茂をして「三十七年間、(国会議員を)やっているが、総理自身が(解散を)やるとかやらないとか発信したのは初めて」(動画サービス「ニコニコ」報道番組)と言わしめた。
伏線はあった。
六月のある日、首相官邸に岸田を訪ねた自民党関係者は、その覇気のなさに驚いた。五月の先進七カ国首脳会議(G7広島サミット)直後の報道各社の世論調査で軒並み内閣支持率が上昇したことを受け、意気軒高だと聞いていたからだ。「何を聞いてもどこか上の空という感じだった」と、この関係者は振り返る。
それもそのはずである。岸田がサミット後解散を狙っていたのを見計らっていたかのように、「週刊文春」が昨年十二月末に首相公邸で開かれた岸田家親族の忘年会の際の写真を報道。政務担当首相秘書官だった長男の岸田翔太郎は六月一日付で辞任に追い込まれた。当初は翔太郎を擁護していた岸田だが、親族の一人が公邸の赤絨毯の上で寝そべってアイスを食べる写真まで報じられ、「身内に甘い」との批判を浴び更迭せざるを得なかった。
写真週刊誌「FRIDAY」も後に続いた。見出しは「岸田文雄首相 首相公邸『親族大忘年会』に寝間着&裸足で参加 ご満悦写真」。翔太郎一人の責任のように思われていた会合に岸田本人も参加していたことを示す写真となった。写真が公邸の居住スペースでのものだったことから、岸田は「(公邸の)公的なスペースにおいて不適切な行為はない」と述べ、問題はないとの認識を示したが、岸田本人を狙い撃ちしたのは明白だ。
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