和歌山県九度山町九度山の建設会社「牧野組」の敷地内で、ノウゼンカズラが高さ十数メートルの鉄塔を覆い尽くす様子が、地域で話題になっている。赤に近いオレンジ色の花が見ごろを迎え、町役場など周囲の建物からもよく見えるため、夏の風物詩として定着している。花は7月半ばごろまで楽しめるという。
鉄塔はダンプカーの運転手と連絡するための業務用無線塔だが、現在では使用されていない。約25年前に高さ30センチほどだったノウゼンカズラの植木鉢を鉄塔の近くに置いたところ、つるがどんどん伸び、4年ほど前に鉄塔の頂点にまで達した。塔のようにそそり立つ姿に「あれは何?」という問い合わせも寄せられるという。
牧野組代表の牧野長治さん(56)は、「生命力を感じて元気が出る。今年はよく咲いていて夏が来たと感じる」と話している。問い合わせは、同社(0736・54・2129)。
生育優れた雑種か
ノウゼンカズラは中国原産で、平安時代には日本に渡来していたと考えられている。樹勢が強く、茎から気根という付着根を出して這(は)い上がるように伸び、10メートル程度にまで達する。それでも、今回のように10メートル以上ある鉄塔を覆い尽くす程に成長したのはなぜなのか。
理由を探るため、京都府立植物園の山本和喜企画係長に花の写真を確認してもらった。山本さんは「花の付き方にはノウゼンカズラの特徴が現れているが、花の形は北米原産のアメリカノウゼンカズラに似ている」と指摘し、「両者の雑種由来の品種に思える」と説明する。
雑種には、親よりも生育や繁殖力などが優れた「雑種強勢(ざっしゅきょうせい)」という性質が現れることがあるという。山本さんは「ここまで成長したものは見たことがなく、見事としか言い様がない。雑種強勢が関係している可能性は高いだろう」と話している。【藤原弘、近藤諭】
からの記事と詳細 ( 「あれは何?」 十数メートルの鉄塔をのみ込んだ植物の正体 和歌山 - 毎日新聞 )
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