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Friday, June 23, 2023

防衛産業支援の新法装備品選別の始まりか 交錯する期待と不安 - 日経ビジネスオンライン

弱体化しつつある防衛産業を支援する新たな法律が6月上旬に成立した。東アジア情勢が不安定になる中、日本が国産装備品を持ち続けることは安全保障上の「バーゲニングパワー(交渉力)」につながる。防衛産業ではこの20年で100社以上の企業が撤退。メーカー各社からは「遅きに失した感がある」との声も上がる。新法適用の装備品は未定で今後選別が始まる可能性もあり、期待と不安が入り交じる。

防衛装備品は防衛省が価格を設定するが、間接費などの負担が重い(海上自衛隊が運用する護衛艦)

防衛装備品は防衛省が価格を設定するが、間接費などの負担が重い(海上自衛隊が運用する護衛艦)

 「遅きに失した感があるが、ないよりはましだ」。新法成立を受け、川崎重工業のある幹部はこう漏らした。

 国会で7日に可決、成立したのは「防衛産業生産基盤強化法」。自衛隊の任務に欠かせない装備を手掛けるメーカーを対象に、生産効率化による利益率の改善やサプライチェーン(供給網)の拡充などについて必要経費を補助する。

 事業存続が難しい場合には、国が製造設備を買い取って実質「国有化」し、別のメーカーに製造を委託できる仕組みなども盛り込んだ。

 日本の防衛産業は三菱重工業や川重などの完成品メーカーを頂点にサプライヤーが連なっている。だが、撤退する部品メーカーが後を絶たず、サプライチェーンはくしの歯が欠けたようになってきている。防衛分野から撤退した企業はこの20年で100社超に上り、先述の川重幹部は「一朝一夕には変わらないだろうが、持続可能な防衛産業に生まれ変わることを望みたい」と期待を込める。

 防衛産業の難題は、人・モノ・カネをかける割には利益率が他の事業に比べて圧倒的に低いことに尽きる。国内の装備品事業の売上高営業利益率は平均2~3%にとどまるとみられ、営業赤字も少なくない。

 装備品は納入先が防衛装備庁(防衛省)に限られるので生産量は少なく、固定費負担は重くなる。

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