総務省は26日、携帯電話の販売ショップの在り方などを議論する有識者会議を開き、通信契約せずに端末の購入だけを求める顧客に対して、販売を拒否するケースがあったとする覆面調査の結果を公表した。KDDIでは3割近くが拒否しており、背景には回線契約に依存したビジネスモデルの問題点がある。今後、携帯ショップを仲介しないオンラインによる契約が増え、事業環境の更なる悪化が予想される中、ビジネスモデルの転換が求められている。
総務省の覆面調査では、料金プランを契約せずに、分割支払いの一部を免除する携帯各社の割引を使って端末だけを購入しようと試した。この割引は回線契約の有無に関係なく誰でも利用できるが、調査した携帯ショップのうち、NTTドコモ系列で22.2%、KDDI(au)系列は29.9%、ソフトバンク系列では9.3%で、販売を拒否されたという。携帯各社の調査では販売拒否を数%しか確認できておらず、総務省は携帯各社に対しても、「携帯ショップを指導する義務を十分果たしていない」と非難した。
背景にあるのは、携帯ショップの収益構造の変化だ。これまで、携帯各社は端末を安く提供し、料金で回収してきた。携帯ショップは、端末販売の手数料と契約数に基づく奨励金が収益の柱だった。2019年の事業法改正で料金プランと端末代金が分離され、端末の割引は制限された。携帯大手は携帯ショップに対し、端末の卸価格を高くし、回線契約の獲得を重視する方向に転換している。総務省の聞き取り調査に、ある携帯ショップは「端末の卸価格が携帯大手のネット直販の価格と同額になっており、端末販売では利益が出ない」と回答している。携帯ショップは端末の販売価格を自由に決められるが、ネット価格を上回る値はつけにくい。
携帯大手はオンライン手続きに力を入れており、端末購入やプラン変更などをネットで申し込める。割安のオンライン専用プランに人気が集中する一方で、携帯ショップは新型コロナウイルスの感染拡大で、来客数が減少するなど、苦境が続く。
ただ、携帯ショップは全国8000店弱あり、過疎地域などにも店舗網が広がる。マイナンバーカードの普及で行政手続きなどのデジタル化が期待される中、携帯ショップでもカードの申請手続きができるようになる。携帯ショップは地域のデジタルサービスを支える拠点になれるかが生き残りの鍵を握る。(高木克聡)
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