乳幼児期の集団予防接種が原因で20年以上前にB型肝炎を発症し、その後再発した福岡県の男性2人に国への賠償請求権があるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は26日、除斥期間(20年)の始まり(起算点)は「再発時」だとして、「請求権は消滅していない」とする初判断を示した。その上で、除斥期間が過ぎたとして原告側の請求を棄却した2審・福岡高裁判決を破棄。賠償額の算定のため、審理を同高裁に差し戻した。
裁判官4人全員一致の意見。全国では他に計111人の再発患者が同種訴訟を起こしており、三浦守裁判長は「迅速かつ全体的な解決に向けて国の責務が適切に果たされることを期待する」との補足意見を付けた。
判決によると、原告の60歳代男性2人は注射器の使い回しでB型肝炎ウイルスに感染し、それぞれ1987年と91年に慢性肝炎を発症した。治療で一度は症状が治まったが、2007年までに再発。慢性肝炎患者に支給される救済制度の給付金(1人あたり1250万円)と弁護士費用計2675万円の支払いを求めた。
同小法廷は「最初の発症と再発による損害は質的に異なる」と指摘。原告2人は再発で新たな損害を受けたとし、「再発時を起算点とすべきだ」と述べた。
17年の1審・福岡地裁判決は、再発時を起算点として国に全額の賠償を命じたが、19年の2審判決は「原告の病状は肝炎の再燃に過ぎず、最初の発症時が起算点だ」と判断していた。
厚生労働省B型肝炎訴訟対策室は「判決を分析し、関係省庁とも協議の上、適切に対応する」とコメントした。
◆除斥期間 法律関係を安定させるため、損害賠償請求権が自動消滅するとした期間。時効と違い、中断は認められない。被害救済の面から批判があり、2020年施行の改正民法で時効に統一された。
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