【カイロ=蜘手美鶴】イスラエル占領下のパレスチナ自治区で、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。ただ、約500万人の人口にワクチンは1万回分あまりと圧倒的に不足。イスラエルは2000回分を提供したのみで、国連や人権団体は「ワクチン提供は占領者(イスラエル)の義務だ」と批判している。
AFP通信などによると、接種は2日から医療従事者を対象に始まったが、ワクチンはイスラエルから1日に届いた2000回分と、4日に到着したロシアが寄付した1万回分のみ。今月中旬にはワクチン購入の国際枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて約3万7000回分が届く予定だがまだまだ足りない。自治区では1月中旬以降、1日の新規感染者は500人前後で推移し、感染死者は1870人(6日現在)。
◆中東対立、ワクチンでも…
イスラエルは1967年以降、西岸とガザ地区、東エルサレムを占領下に置く。世界トップの接種率を誇るイスラエルだが、占領地域でのワクチン接種は入植地に住むユダヤ人だけが対象だった。このため国連の人権専門家は先月、国際法では「占領地の保健衛生の責任は占領者にある」と非難した。
パレスチナ人政治評論家のウサマ・シャアズ氏は取材に「(提供したワクチンの)量を見れば分かるが、イスラエルはパレスチナを助ける気はない。国際社会の圧力を受け、『支援した』という姿を見せただけ」と話す。
自治政府によると、約13万人がイスラエルと西岸の入植地で働くなど日常的に行き来するだけに、自治区内の感染拡大はイスラエルにも脅威となる。西岸ラマラの広告代理店アラア・アリさん(42)は「イスラエルはパレスチナ人の安い労働力は必要なくせに、ワクチンは自分たちだけ。恥を知るべきだ」と憤った。
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