2024年1月1日午後16時10分ごろ、石川県能登地方でモーメントマグニチュード(Mw)7.5の大地震「令和6年能登半島地震」(以下「能登半島地震」)が発生しました。最大震度7を記録し、多数の犠牲者を含む甚大な被害に至りました。能登半島とその周辺地域では、主に北東―南西方向に延びる複数の活断層の存在が知られていました。また約3年前からは、地下の流体移動と関係すると考えられる非地震性のゆっくりとした地殻変動と活発な地震活動が観測されていました。こうした活断層のネットワークや地殻活動が、大地震の破壊をどのように駆動するのかを明らかにすることは、地震発生機構や強い揺れの生成メカニズムを理解する上で重要です。
深畑幸俊 防災研究所教授、奥脇亮 筑波大学助教らの研究グループは、世界中で観測された地震波形データを解析し、能登半島地震の破壊過程を推定しました。その結果、この地震は複数の破壊エピソードから成ること、特に地震の発生から10秒ほど続いた初期破壊は、地震前に観測されていた活発な地殻活動域に重なっていたことが分かりました。さらに、初期破壊後に進展した主破壊は初期破壊域を挟んで西と東に分かれ、それぞれ向きや傾斜の異なる断層を次々と破壊しながら大きく成長していった様子が明らかになりました。
本研究により、能登半島地震は向きや傾斜の異なる活断層ネットワークによって制御されていたこと、並びに本震前に震源域で観測されていた地殻活動と密接な関係があることが明らかになりました。本研究で示された複雑な破壊成長過程は、地震発生機構の理解を深め、地震による被害リスクを評価する上で重要な知見になることが期待されます。
本研究成果は、2024年6月8日に、国際学術誌「Geophysical Research Letters」にオンライン掲載されました。
からの記事と詳細 ( 「令和6年能登半島地震」は長く静かに始まり、向きや傾斜の異なる断層を次々と破壊した - 京都大学防災研究所 )
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