この夏はこれまでにはない猛暑の日々が続いた。のろのろ台風によって日本各地は大雨や強風にさらされて被害が続出し、ハワイでは大火災が起きた。エルニーニョ現象の多発、海水温の上昇など地球温暖化によって引き起こされる気候変動がもはや危険な領域に達している兆候である。国連のグテーレス事務総長が「もはや地球温暖化ではなく、地球が沸騰している」と言ったのはうなずける話だ。
これは人間が構築してきた社会システムが地球のシステムと合わなくなってきたことを示している。7月に地質学者たちが人新世の時代の始まりを1950年代にすることを提案した。人新世は終わりの始まりなのかもしれない。人間と地球の関わり方、人間社会の在り方を根本から考え直さなくてはならない大転換期に来ている。
長い間、人類学は人間の生き方について多くの示唆を私たちに与えてきた。しかし、人類学は当初から自然科学と人文学の間で対立する解釈が生み出されてきた。自然科学に属する自然人類学は、人間が他の生物と同じ普遍的な原理によって作られていると考える。一方、人文学に属する文化(社会)人類学は、人間とはそれぞれが暮らす文化(社会)によって異なる性質をもつと見なす。ただ、どちらの学問も人間が大きな脳を持つ点を重視し、卓越した知性の正体とその成果を追い求めてきた点は共通している。
この亀裂はなかなか埋めるこ…
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