第104回全国高校野球選手権大会が6日、甲子園で開幕する。5日の開会式リハーサルでは出場校の登録選手たちが入場行進したが、大会本部は午後6時前に新型コロナウイルス感染拡大を予防するため、急きょ主将1人だけの行進に変更すると発表。5日昼には県岐阜商が新型コロナの集団感染と判断された。6校が開会式を欠席する非常事態となり、今夏もコロナ禍の対応に苦慮している。

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晴れの甲子園はたった1人の行進で始まる。今夏もコロナ禍が高校球児を襲った。開会式の15時間前、大会本部が入場行進の様式変更を発表。感染拡大予防のため、選手18人の行進を中止し、先導する市西宮(兵庫)の女子生徒の後ろを主将だけが行進する形に変わった。

急転の決断だ。会見した主催する朝日新聞社の山本秀明高校野球総合センター長は「突然の変更は残念。楽しみにしていた選手たちに大変、申し訳なく思う」と苦渋の表情を浮かべた。午前に甲子園で行われたリハーサルでは出場校のナインが行進。その一方で、新型コロナの集団感染や体調不良者が続出した6校が不参加となった。選手不在でプラカードを持つ女子生徒だけが行進し、ナインが整列した外野では誰もいない空間が目立った。

大会前のPCR検査で、2日に浜田(島根)帝京五(愛媛)有田工(佐賀)九州学院(熊本)で集団感染が判明し、5日昼には県岐阜商が集団感染と判断された。同朝には体調不良者が複数出た九州国際大付(福岡)が急きょリハーサル不参加となった。この6校は開会式も欠席する。

事態を重く見た大会本部が行進方法を見直した。山本センター長は「選手が試合を行えるために決断した。選手が集まり、近いところにとどまるのを避けるべき」と説明。リハーサルでナインが行進し、本番で主将1人の事例は「調べられる範囲では初めて」という。3年ぶりに一堂に会した開会式になるはずが、異例の事態に陥った。球児にとって「幻の入場行進」になり、今夏も暗雲が覆ってきた。【酒井俊作】

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