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Monday, July 10, 2023

いきものがかり始まりは何げない一通のメール私も一緒 ... - 読売新聞オンライン

 5月3日、いきものがかりの吉岡 と水野良樹は、神奈川県海老名市の商業施設「ビナウォーク」のステージに立っていた。

 「この場所で、また始まりの曲ですね」

 そう前置きした吉岡は、デビュー曲「SAKURA」を歌い始めた。海老名はかつて幾度となく路上ライブを行った地元だ。バックバンドを入れず、ボーカルの吉岡とギターの水野の2人きり。まさに原点から、新たに歩み出した。

 数々のJポップの名曲をお茶の間に送り出してきた3人組の「いきものがかり」から、2021年夏、ギターの山下穂尊が脱退した。水野の著書には、「3人は互いに人生を背負いあっている」と記されている。それほど絆は強く、3人でいること自体がグループの存在意義でもあった。しかし、山下から「本当に音楽という道で突き進むのか」と迷いを打ち明けられ、話し合いの末に出した結論だった。

 山下の脱退表明から約2年、2人体制となったグループは、水面下で歩みを進めていた。山下が抜けた影響について、水野は「もっとあると思ったんですけど、意外と自然に(物事が)進んでいて」と淡々と話す。吉岡も「急にギアを入れた、というわけではないんです。録音は済んでいるけれど、まだお届けできていない曲もある。準備を進めていたものが今、表に出てきたということです」と語る。

 海老名でのライブと同じ日、2人になってから初めての新曲「STAR」を発表した。詩人で童話作家の宮沢賢治と父・政次郎の絆を描く映画「銀河鉄道の父」主題歌だ。曲名は賢治が作詞作曲した「星めぐりの歌」を連想させ、「時をこえるのは 言葉だけなんだ」「いのちをつかいきれ」と、賢治の思想と重なる強いメッセージ性を持っている。

 楽曲制作の依頼を受けたのは、吉岡が出産を控え、新規の仕事を断っていた時期だった。作詞作曲した水野は「吉岡が親になるし、僕にも子供がいる。親子をテーマにした映画と自分たちにはリンクする部分があった」と振り返る。吉岡自身が「やりたい」と言ったことも、決断を後押しした。

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