PwC調査レポート サイエンスの進歩のみでは製薬企業の企業価値向上は望めない 5つのアクション提言
公開日時 2022/11/21 04:51◎過去7年間の米国株における株主総利回り(TSR)で製薬企業は「他産業に劣後している」
米国株における過去7年間の株主総利回り(TSR)は、S&P500の15%に対し、製薬企業は10%でアンダーパフォーム率は22%、バイオファーマは6%で同じくアンダーパフォーム率は60%と大きく遅れを取っている。調査レポートでは、製薬業界のリーダーは、「今後擦すべき道を定める際に、価値創造という視点を研ぎ澄まし、その視点を日々の意思決定に織り込むべき」と強調した。また、デジタルイノベーションの成果を収めることが急務の課題と位置づけたうえで、デジタル製品の開発、顧客エンゲージメントの個別化、新しいタイプのデータの活用、インテリジェントな自動化、よりアジャイルな働き方など、「他業界の先進企業から見習う点はあるはず」と強調した。
◎注目すべき5つのアクション
その上で、注目すべき5つのアクションとして、①先進的で差別化された技術や手法(Capabilities)の導入、②これまでに投資したデジタル・ITの最適な活用、③魅力的な企業文化醸成による優良人材の維持と獲得、④柔軟で最適な製品・研究開発ポートフォリオ戦略の考案、⑤セキュリティや法的なリスクの最小化による企業防衛-をあげた。
まず、製薬企業が競争的優位性を獲得するためには、大規模な機械学習やデータ解析といった先進的な手法や技術を取り入れる必要があると指摘。「例えば、分散型臨床試験(DCT)の推進による患者中心主義の実践もここに含まれる」とした。さらに、すでに多額を投じた人工知能(AI)やクラウド化などについて、「これらのデジタルテクノロジーアセットを最大限に活かし、患者中心の経験価値(ペイシェント・エクスペリエンス:PX)を高めながら持続的な業務効率化を実現する」こともアクションプランの一つに掲げている。
企業文化の醸成と優良人材の維持・獲得では、「従業員主導のイノベーションは、イノベーションと価値創造が好循環する自己強化型システムにつながり得る」と指摘。企業文化については、「従業員は経営者が考えるほどにはインクルーションについて満足していないことにも留意が必要」とも警鐘を鳴らしている。さらに、柔軟で最適な製品・研究開発ポートフォリオ戦略の考案では、パートナーシップのエコシステムとして、「社内では、各部門間におけるパイプラインニーズのフェーズ(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)ごとの調整と、注力・補強すべき治療領域の検討が必要」と強調。一方、社外のパートナーシップ構築(大学、バイオ企業/VC、商業科ビジネス、テクノロジー)においては、「製品のライフサイクルごとに必要な機能が異なる」とした。企業防衛の観点からは、巧妙化するサイバー攻撃や、地政学的緊張とリスク、さらに世界的な税制改革や社会的要求への対応などに備えることの重要性について訴えた。
◎M&A活動と新しいエコシステムパートナーを「最大限活用できる立場にあるか?」
最後に製薬企業が進むべき道として、変革のビジョンとロードマップ、将来に向けたケイパビリティの充実、大規模な変革とスピード、自社の守り―に加えて、M&A活動と新しいエコシステムパートナーを「最大限活用できる立場にあるか?」と投げかけた。その上で、「経営陣に求められるのは、患者と株主が期待する価値を生みだすために、変革に向けた作戦を立案すると同時に自社を守ることである」と強調。「不十分なポイントは、直ちに行動することが望まれる」と締めくくった。
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