東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)が大会マスコットのぬいぐるみを販売した「サン・アロー」(東京)側から、他社の参入排除や他商品の公式ライセンス契約など複数の依頼を受け、組織委側に働きかけた疑いのあることがわかった。東京地検特捜部は依頼事項をやり取りしたメールを押収し、高橋容疑者が便宜を図った証拠の一つとみている。
高橋容疑者は19日、大手広告会社「ADKホールディングス」側から2017年11月~22年1月に計約4700万円、サン・アロー側から18年10月~21年4月に計約700万円の賄賂をそれぞれ受領したとする受託収賄容疑で再逮捕された。サン・アロー側の約700万円全額とADK側の一部は、知人が経営する休眠状態のコンサルタント会社を通じて受領したとみられる。
サン・アローは18年7月から、大会マスコットの「ミライトワ」「ソメイティ」のぬいぐるみを公式ライセンス商品として販売した。
関係者によると、高橋容疑者は販売直前の18年6月、サン・アロー幹部から、メールで▽ぬいぐるみの販売はサン・アローと別の玩具会社の「2社のみ」とし、それ以外は入れないでほしい▽パスケースなども公式商品として販売したい――などと依頼された。高橋容疑者は組織委側にこのメールを転送するなどしていたという。
組織委幹部らは特捜部の任意の事情聴取に対し、「高橋容疑者から『ぬいぐるみはサン・アローなど2社に販売させるように』と言われた。『約束できない』と伝えた」などと説明したという。ただ結果的には、高橋容疑者の指定通りになったという。
高橋容疑者はこのほか、サン・アロー側の依頼で、ぬいぐるみが売れ残った場合の対応を検討するよう組織委側に働きかけていた疑いもあるという。
特捜部はサン・アローの幹部について、在宅のまま贈賄容疑で捜査を進めている。高橋容疑者は、特捜部に対し「賄賂を受領した認識はない」などと容疑を否認しているという。
五輪マスコットの「ミライトワ」、パラマスコットの「ソメイティ」のデザインは小学生による投票で決まり、東京大会の「顔」として様々なイベントに登場し、親しまれた。
組織委によると、「ミライトワ」は「未来」「
マスコットのデザインは、組織委の審査会によって選ばれた最終候補3作品の中から、国内外約1万7000校の小学生による投票で決定。2018年7月以降、ぬいぐるみやキーホルダーのほか、マスコットがプリントされたシャツや帽子などが公式商品として販売された。
大会マスコットをデザインしたキャラクターデザイナーの谷口亮さん(48)は取材に「制作スタッフやマスコットは何も悪いことをしていないので、とばっちりを受けたような気持ち」とした上で、「汚職事件は一部の人たちによって起こされたもので、選手をはじめ真面目に取り組んできた人たちにとっての『五輪』が否定されたわけではない」と話している。
からの記事と詳細 ( 「五輪ぬいぐるみ販売2社のみ」組織委元理事が他社参入を排除…売れ残りへの対応も働きかけか - 読売新聞オンライン )
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