日銀は6日、10月の地域経済報告(さくらリポート)を発表した。全国9地域のうち中国地域のみ景気判断を引き上げ、その他は7月から据え置いた。新型コロナウイルスの影響が和らぎ、個人消費が堅調だった。円安の恩恵を指摘する声が出る一方で、資源高と円安を背景とした原材料高に苦しむ企業もある。
日銀は同日、3カ月に1度の支店長会議を開きリポートをまとめた。中国地域は生産面などでの改善を受けて、景気判断を「下押し圧力は残るものの、緩やかに持ち直している」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。上海のロックダウン(都市封鎖)解消などで供給制約の影響が和らぎ、自動車や汎用・生産用・業務用機械といった業種で改善の動きがみられた。
項目別にみると、個人消費の判断は中国が引き上げ、近畿が引き下げた。7月から8月にかけては新型コロナが感染拡大する場面もあったが、厳しい行動制限措置がとられなかったこともあり、企業からは「過去の感染症拡大局面とは異なり、新規予約を相応に獲得できた」(四国の旅行)といった声が聞かれた。政府の旅行支援策を念頭に「国内バスツアーなどの回復に期待している」(近畿の旅行)との意見もあった。
懸念は物価高だ。高口博英・大阪支店長は「原材料価格と円安は物価上昇という形で個人消費にも影響を与えている」と指摘。ただ「(現時点では)企業からは売り上げの大幅な減少はみられていないという声が聞かれている」とも話した。
円安の影響については業種によって反応が割れた。北海道の輸送用機械は「(輸出額は)円安も追い風に足元増加している」とする一方で、北海道の食料品は「ウクライナ問題による物流の混乱や円安に伴う仕入れ価格の高騰で、新たな原材料の調達に苦慮している」とした。
人手不足の状況が続いており物価も上昇していることから、賃上げに積極的な声も聞かれた。「今春に賃上げを実施したほか、夏季賞与も前年対比1割ほど増額して支給した」(関東甲信越の輸送用機械)、「物価高も踏まえて冬季賞与の増額や来春の積極的な賃上げを計画」(九州・沖縄の対個人サービス)といった声があった。
からの記事と詳細 ( 日銀10月の景気判断、中国地域のみ引き上げ(写真=共同) - 日本経済新聞 )
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