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Tuesday, October 19, 2021

大豆のみで最強の“肉らしさ”追求 様々な食材に化ける秘密とは - 日経クロストレンド

日経トレンディ スタートアップ大賞 第8回(写真)

2021年10月4日発売の「日経トレンディ 2021年11月号」では、「スタートアップ大賞2021」を特集。急拡大する植物肉市場で、従来とは異なる方法で肉を再現する「MIRACLE MEAT」を生み出したDAIZ(ダイズ、熊本市)が優秀賞に選ばれた。大豆が発芽する条件を5000通りの中から選び、うまみも味もそっくりに仕上げる技術は大手企業から高く評価される。海外市場も席巻するゲームチェンジャーになれるか。

※日経トレンディ2021年11月号の記事を再構成

丸大豆の発芽条件を変えることで、味や食感を調整して様々な肉に近づける

丸大豆の発芽条件を変えることで、味や食感を調整して様々な肉に近づける

前回(第7回)はこちら

 植物肉は様々なメーカーがしのぎを削る激戦市場だ。そうした中、丸大豆を使った本格的に“肉らしい”植物肉を作る技術で、外食チェーンや食品メーカーなど大手企業から引く手あまたのスタートアップ企業が熊本市にある。それが、DAIZだ。連続起業家で代表の井出剛氏が、同社CTOの落合孝次氏が開発した全く新しい植物肉技術にほれ込み、起業につなげた。

スタートアップ大賞2021

 従来の大豆を使った植物肉は、油を搾った後のかすを原料とするのが基本。「独特のにおいが残り、うまみが少なく、食感を肉に近づけるのが難しいなど課題があった」(井出氏)。そこでDAIZは落合氏が生み出した独自技術を活用する。油を搾る前の丸大豆そのものを発芽させ、原料に使うのだ。

 大豆は発芽の過程で、うまみのもととなる様々なアミノ酸を活発に作る。その際、二酸化炭素濃度を高めたり、高温にしたりといったストレスを与えると、生成されるアミノ酸の量が劇的に増えることを落合氏は見いだした。また、二酸化炭素濃度や温度の条件を変えると、作られるアミノ酸の種類や量が変わり、味が変化することも突き止めた。条件を変えることで、鶏肉や牛肉など、様々な食材に“化ける”のだ。

【優秀賞】大豆“代替肉”テック DAIZ

新規性★★★ 影響力★★ 成長性★★★

●MIRACLE MEAT

●MIRACLE MEAT

丸大豆を加工して作る植物肉。大豆が発芽中、酸素濃度、二酸化炭素濃度、温度、水の量を変えると味が変わる原理を利用し、牛、豚、鶏などの肉の味を再現する

丸大豆を発芽タンクで16時間かけて発芽。二酸化炭素濃度、温度などを変えることで、肉それぞれの味を作り出す

丸大豆を発芽タンクで16時間かけて発芽。二酸化炭素濃度、温度などを変えることで、肉それぞれの味を作り出す

発芽大豆は加工機械(左)で膨化。牛肉、豚肉、鶏肉、ツナなどそれぞれの食感に似せ、様々なメニューに活用する

発芽大豆は加工機械(左)で膨化。牛肉、豚肉、鶏肉、ツナなどそれぞれの食感に似せ、様々なメニューに活用する

代表取締役社長の井出剛氏。遺伝子改変マウスを扱うトランスジェニック、ベビーリーフを生産する果実堂を起業後、15年にDAIZを設立

代表取締役社長の井出剛氏。遺伝子改変マウスを扱うトランスジェニック、ベビーリーフを生産する果実堂を起業後、15年にDAIZを設立

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