日本でも3月より商用サービスが始まる5G。この対応をめぐり「ミリ波とSub 6に両対応するスマホ」と「Sub 6だけに対応するスマホ」に分かれています。
「Sub6」とは、6GHz未満の比較的低い周波数帯のことです。実質4G周波数の延長として利用でき、エリアを広くカバーするのに適しています。国内では「4.5GHz帯」と「3.7GHz帯」が割り当てられており、ドコモとKDDIがそれぞれ200MHz幅、ソフトバンクと楽天はそれぞれ100MHz幅を利用します。
「ミリ波」は、30GHz〜300GHz帯を指します。ただ、厳密な区分けではなく、日本で5Gに使われる28GHz帯もミリ波と呼びます。特徴は、前述の「Sub 6」に比べて周波数が高いことです。電波は周波数が高いほど直進しやすく、障害物の影に回り込む性質が弱くなります。また、大気中の水蒸気や降雨で減衰しやすく、広いエリアをカバーする用途には向きません。
その一方、広大な帯域幅を確保できるメリットがあり、日本では4キャリア(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天)にそれぞれ400MHz幅ずつ割り当てられています。帯域幅は広いほど通信容量を確保できるため、都心部など、混雑エリアをスポット的にカバーする用途に向きます。
国内メーカーのスマホは「Sub6だけ」が主流
このように、周波数としては大まかに2種類に分けられる5Gですが、シャープやソニーモバイルが相次いで発表した5Gスマートフォン「AQUOS R5G」「Xperia 1 II」はいずれも「Sub6」のみ対応で、「ミリ波」には非対応です。これは、周波数の高いミリ波に対応するには、端末のアンテナ形状を工夫する必要があるなどの要因があります。『ミリ波非対応なら、なんちゃって5Gでは...』という声も聞こえてきそうですが、当面は「Sub6」だけでも問題なさそうです。前述の通り「ミリ波」は混雑エリアをスポット的にカバーすることしかできず、当初は「Sub6」を中心に5Gエリアを構築していくものと思われます。この点では、ソニーやシャープの判断は現実的と捉えることもできます。
なお、サムスンの「Galaxy S20+」「Galaxy S20 Ultra」は、「Sub6」と「ミリ波」に両対応。ソニーモバイルが開発のみ発表した「Xperia PRO」も両対応です。iPhoneの次期モデルも両対応と噂されており、今後は両対応が主流となる見通しです。
5Gの全国エリア化には「4G周波数」の転用が不可欠
5Gの全国エリア化という観点では、ミリ波の「28GHz帯」やSub6の「4.5GHz」「3.7GHz」だけでは役不足です。周波数帯のより低い、既存の4G周波数を5Gに転用する必要があります。このため、総務省は、既存4G周波数の5G転用を前倒しで議論しています。なお、5Gには、1つの周波数帯で4Gと5Gを同時に展開できる「ダイナミック・スペクトラム・シェアリング」という技術革新があり、4G周波数の5G転換は劇的に進みそうです。
「真の5G」実現はまだ先
余談ですが、3月に商用サービスが始まる5Gは、既存の4Gネットワーク上で、高速な5G回線を部分的に利用する「ノンスタンドアロン5G」(5G NSA)と呼ばれる方式です。コアネットワークは4G回線を利用しており、5Gの特徴である、回線の用途ごとに帯域幅を細かく制御し、『遠隔医療向けには一定の帯域と低遅延を保証する』といったことを実現する「ネットワークスライシング」などの恩恵には預かれません。なお、国内キャリアではKDDIが2021年中に、コアネットワークを5G化した「スタンドアロン5G」(5G SA)を展開予定。真の5G時代はそれ以降に訪れます。
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February 24, 2020
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2種類の5G──「ミリ波」「Sub6」って何? Xperia 1 IIは後者のみ - Engadget 日本版
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