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Sunday, March 24, 2024

時代とともに進化する“声優ブーム”。その始まりは戦後のラジオドラマブームから!|静岡新聞アットエス - @S[アットエス] by 静岡新聞


SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は過去に行われた声優イベントについてお話を伺いました。※以下語り、藤津亮太さん

ラジオドラマブームから始まった声優人気

最近、声優さんの人気が非常に高いように感じてる人も多いと思いますが、実は声優さんは昔から人気がありました。ただ時代とニーズに合わせてその形が変わり、ビジネス的な規模が大きくなっているという感じです。

まず“0次ブーム”といっていいと思いますが、戦後にはラジオドラマブームがありました。ラジオ・テレビのための俳優を育てることを目的としたNHK主宰の東京放送劇団は、第5期の入団倍率が非常に高かったそうです。その時の合格者のひとりが、黒柳徹子さんです。この倍率の高さは、ラジオドラマの人気を反映したものだったそうです。この時期はファンというより、憧れの仕事みたいな人が多かったのですね。

その後、ファンが追っかけを始めるのは、『0011ナポレオン・ソロ』(1965年)がきっかけです。海外ドラマの吹き替え版ですが、この吹き替えを担当した野沢那智さんは大変人気がありました。この頃を、“第1次ブーム”と呼びます。

野沢さんはアラン・ドロンなどの吹き替えもしていた方ですが、2人が対面するというテレビ局の企画があったときには、羽田空港までタクシーで野沢さんを追いかけたファンがいたほどです。そういうことはもう60年代から70年にかけて普通にあったんですね。

その後、さらに世間の人がアニメに注目するようになったのが、1977年から始まったアニメブームのときです。『宇宙戦艦ヤマト』、『機動戦士ガンダム』、『超時空要塞マクロス』とヒット作が繋がっていった時代ですね。この頃の声優人気が“第2次ブーム”です。

その後いくつか局地的なムーブメントはありますが、次の大きなムーブメントとなったのが『美少女戦士セーラームーン』(1992年)以降です。この頃が“第3次ブーム”。ここから声優人気は下がらないまま続いています。ただ長く続く中で実態が少しずつ変わってきてはいるので、(僕は積極的には使いませんが)最近を“第4次ブーム”という人もいますね。

第2次ブームの頃から、声優さんが歌を出したり、ラジオをやったりしていました。これが90年代に入ると産業化して、声優さんがレーベルとアーティスト契約を結ぶようになり、アーティストの側面が仕事として確立されるようになります。第2次ブームの時は「余技」の側面が強かったのが、第3次ブームできちんとしたビジネスの1つとして環境が整えられたのです。

1979年に行われた第1回声優フェスティバル

1979年4月、東京有楽町にあった日本劇場で「第1回声優フェスティバル」が行われました。『宇宙戦艦ヤマト』が大ブームとなっていたこともあり、その頃から大きなホールで声優イベントが開催されるようになっていました。

第1部では「アニメ特集&松本零士の世界」ということで、主に松本零士先生のアニメに出ていたキャストが、その場で台本を読みながらお芝居をしたようです。例えば『惑星ロボ ダンガードA』(1977年)から神谷明さんと吉田理保子さん、『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)から富山敬さん、麻上洋子さんといった形でいろんな作品を紹介したり、いろいろなキャストが寸劇をやったりしました。

第2部では、声優の柴田秀勝さんが構成と指揮を担当して、ラフカディオ・ハーンの『怪談』の中から『雪女』をセリフ劇の形で上演しました。

最後3部はバラエティーショー。テレビ局を舞台にしたコントでした。ニュース、スポーツ中継、バラエティなど様々な番組を題材にしたショートコントを出演者たちが、実際に演じました。その中には「歌番組」もあり、アニソン歌手の大杉久美子さんや水木一郎さんなどが出てきて歌を披露しました。

声優さんも基本的には役者さんなので、役者さんがやるような仕事の振り幅の中で、いろんなことをやるのはむしろ自然ですよね。なので、こういうイベントが1980年前にも普通にあったわけです。

しかもこのイベントにはパンフレットもあるのですが、それとは別に当日カメラマンが入っていて、イベントの様子を撮影したグラフブックが出版され、音源を収録したLP(アナログレコード)も出ています。関連商品を出してもちゃんと売れるだろうと想定されるぐらいには、十分ファンがいたわけです。

そういう意味では、昔から声優さんのイベントというのは人気があったのですね。今はビジネス化がすすんで、イベントがあるのが当たり前のようになってきています。だからイベント数も多いしその市場も広がりました。でもファンの熱量を象徴する場、という意味では、今も昔も変わらないのかなと思うわけです。

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