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Tuesday, August 8, 2023

「話のさわり」はどこを指す?始まりor要点?「さわり」の意味や ... - kufura

「さわり」の意味、どちらが正しい?

「さわり」の意味、どちらが正しい?

“さわり”の正しい意味はどちらでしょうか。

  1. 話などの要点のこと
  2. 話などの最初の部分のこと

答えは「1」。“さわり”は、話の要点を表す言葉です。

しかし、文化庁が過去に行った『国語に関する世論調査』では53.3%が「話などの最初の部分」と回答しています。

「さわり」の意味とは?語源は?

「さわり」の意味とは?語源は?

さわり”は、話や物語などの重要なポイント、または一番の聞かせどころのことを表します。

もともとは、語り物音楽である浄瑠璃の流派の1つ“義太夫節”(ぎだゆうぶし)”の中で、他の流派の旋律に触れた箇所が“さわり”と呼ばれ、一番の見どころ・聞かせどころとされていました。その後、広く曲や物語、話に対しても使われるようになっていきました。

「曲のさわり」はイントロ?サビ?

「曲のさわり」はイントロ?サビ?

“さわり”の意味は、重要なポイントや聞かせどころ・見せどころのこと。

そのため、“曲のさわり”と言ったときには、本来は曲のサビの部分を表します。

「曲のさわりを聞かせて」と言われたとき、本来の意味を踏まえれば一番の聞かせどころである“サビ”“大サビ”のあたりを聞かせるのが正解ですが、イントロ~Aメロのあたりだと勘違いしている人が多いのが現状です。

「さわり」の例文は?

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“さわり”の本来の意味は、“重要なポイント”や“聞かせどころ”です。以下のような形で使います。

・時間が足りないので話のさわりだけお伝えします。

・急いでいるので、さわりだけ聞かせてください。

・その小説のさわりは知っています。

“さわり”を“導入部”だと解釈している人が多いため、話者と聞き手の解釈のすれ違いが生じる可能性もあります。場面に応じて、以下のような言葉に言い換えるといいかもしれません。

「さわり」を言い換えると?類語は?

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“さわり”の言い換え表現をご紹介します。

(1)「要点」

“要点”(読み方:ようてん)は、話や物事の大切なところ。他にも物事の大切な部分を表す“”(読み方:かなめ)や、大事な箇所という意味を持つ“要所”(読み方:ようしょ)といった言い換え表現があります。

【例文】

・話の要点をお聞かせください。

(2)「佳境」

“佳境”(読み方:かきょう)は、物事の最もおもしろいところ、とても良い場面のこと。「佳境に入る」は、物事が最もおもしろい部分になったときに使います。

【例文】

・物語がいよいよ佳境に入った。

(3)「骨子」

“骨子”(読み方:こっし)は、物事を構成する要点のこと。法律や政治経済などの領域で用いられることの多い言葉です。

【例文】

・法案の骨子を理解する。

(4)「主眼」

“主眼”(読み方:しゅがん)は、物事の一番大事なところ。

【例文】

・この会議の主眼は、メンバーの足並みをそろえることにある。

(5)「核心」

“核心”(読み方:かくしん)は、物事の中心となる大切な部分。

【例文】

・物語が佳境に入り、ようやく事件の核心に近づいてきた。

「話の最初の部分」の類似の表現は?

「話の最初の部分」の類似の表現は?

“さわり”を“話の最初の部分”の意味で使うのは、本来は誤用です。以下のような表現に言い換えるといいでしょう。

(1)「導入部」

“導入部”(読み方:どうにゅうぶ)は、本題に導くための部分。

【例文】

・話の導入部を聞いたが、続きが気になって仕方ない。

(2)「序盤」

“序盤”(読み方:じょばん)は、物事の最初の段階を表す言葉。もともとは、囲碁・将棋の初期の段階の段階を表す言葉ですが、さまざまな場面で使われるようになりました。

【例文】

・シーズンはまだ序盤ですが、これからの展開が楽しみですね。

(3)「イントロ」「イントロダクション」

“イントロダクション”は、音楽では序奏や導入部を表す用語です。略して“イントロ”という用語が広く使われています。

【例文】

・その曲のイントロは、特に印象的だ。

以上、国語講師の吉田裕子さんに“さわり”の意味について解説していただきました。

「“さわり”がどの部分を指しているか」が話者と聞き手で、異なっている可能性もありますので、必要に応じて補足や言い換え表現を活用して誤解を防ぐようにしたいですね。

取材・文/北川和子

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【参考】

平成28年度「国語に関する世論調査」の結果の概要  – 文化庁

吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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