【北京=三塚聖平】中国政府は8月1日から、半導体材料に使う希少金属(レアメタル)のガリウムなどの輸出規制を実施する。半導体の輸出規制など対中圧力を強める米国や、歩調を合わせる日本などを念頭に置いた対抗措置の一環とみられる。米中間の緊張がさらに増す恐れがある。
中国商務省と税関総署は7月3日、国家安全に関わる戦略物資や技術の輸出を規制する輸出管理法などに基づき、ガリウムとゲルマニウムの関連品目について8月1日から無許可での輸出を禁止すると発表した。外務省報道官は「いかなる特定の国も念頭に置いていない」と説明したが、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は「米国が中国のハイテク(産業)を抑圧する中、中国の輸出規制は対等な対抗措置を意味する」との見方を示した。
習近平政権は、米国が対中半導体輸出規制を主導していることにいらだっている。日本が7月23日に始めた半導体製造装置などの新たな輸出規制についても「経済・貿易問題の政治化だ」(商務省報道官)と批判し、見直しを求めた。
中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英研究員は環球時報に対し、「鍵となる鉱物資源は戦略的新興産業を押さえる要衝であり、複雑な地政学政治の中で大国の駆け引きの新たな戦場になっている」との見解を示す。中国はガリウムの生産で圧倒的な世界シェアを握り、米地質調査所(USGS)のデータによると、2022年の世界シェアは98%だった。中国は対中依存度の高さを武器にしている格好だ。
中国商務省の魏建国(ぎ・けんこく)元次官は7月5日の中国紙とのインタビューで、新輸出規制について「反撃の始まりに過ぎない。制裁手段と種類は他にも多くある」と語った。輸出規制がレアアース(希土類)などに広がる可能性も指摘される。
ただ、中国の輸出規制は「もろ刃の剣」になりかねない。尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で2010年に起きた中国漁船と海上保安庁の巡視船との衝突事件を受け、中国はレアアースの対日輸出を事実上規制したが、日本ではその後、対中輸入依存度が低減した。
中国は現在、アルミニウムでも世界トップの生産シェアを誇っているが、アルミ製錬の際の副産物であるガリウムの輸出規制を習政権が強めれば、中国以外のアルミ生産国がガリウム生産に動く可能性も指摘される。
からの記事と詳細 ( 中国、ガリウム輸出規制8月から 「反撃の始まり」 - 産経ニュース )
https://ift.tt/q0Vz5JE
No comments:
Post a Comment