2.8L+Vカム+T78-33Dタービンの組み合わせはRB26チューンの到達点のひとつ
どんなステージでも戦えるトータルバランス最重視の1台
このBNR32は、完全合法に拘る緑整備センターの内永代表が、サーキットでタイムを出しつつストリートでの乗り味も重視してセットアップしたチューンドだ。
内永代表が「RB26チューンのひとつの到達点」と表現する2.8L+Vカム+T78-33Dシングルタービン仕様のエンジンは、ビッグシングルタービンによる高回転域の伸びと、排気量アップの湧き上がるような低速トルクを見事に融合。ストリートではブーストを常用1.3キロに設定して約520psを発生、アタック時は1.5キロまでブーストを掛けて600psまでパワーアップする。
ビッグシングルのT78-33Dが真っ先に目につくエンジンルーム。HKSの2.8Lキットで排気量をアップしているが、クランクシャフトのみ元々使用していた東名パワード製が装着される。
「意外とHKS2.8Lキットと相性が良いですね。ピストンの首振りが少ない。クリアランスがよく取れている証拠です」とは内永代表。
あとは各気筒の吸入口がそれぞれファンネル形状となったニスモサージタンクで吸入効率をアップし、軽量性を重視してアルミ1層のカルソニックラジエターを装着するなど、周辺パーツにも抜かりはない。
そしてサスペンション。レーシングドライバーのミハエル・クルムと共同開発したフォース・サスペンションの3WAYを装備する。バネレートはフロント13kg/mm、リヤ8kg/mmだ。ブレーキローターは、ストッピングパワーもさることながら熱膨張に強く、高いブレーキ冷却性能が特徴のアルコン製をチョイス。さらにダクトを引っ張ってきてブレーキ冷却に力を注いでいる。キャリパーもアルコンの8ポッドを奢る。
また、BNR32は車高を下げていくとステアリングラック本体とタイロッドエンド部に角度が付きすぎてしまう。そうなると、ハンドリングが著しく低下してしまうため、その対策としてこの車両はBNR34の前後サスメンバーを移植している。アライメント変化を抑制するだけでなく、剛性アップも図れる一石二鳥のメニューだ。
コクピットも作り手の強い拘りが感じられるパートだ。メーターにはAIMのMXLデジタルメーターを装着。これで水温や油温など全ての情報を管理できるため、追加メーターを付ける必要がなく「インテリアはスッキリがモットー」という内永代表のポリシーをよく表す選択だ。コンソール部分にはバルコンと空燃費計、そしてドゥーラックのアテーサコントローラーがセットされる。
まさにトータルバランス重視の最上級メイキング。サーキットのみならず、どんなステージでも最前線で戦えるオールラウンダーというべき仕上がりになっているである。
●取材協力:緑整備センター 神奈川県横浜市都筑区川和町140 TEL:045-933-1101
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