1996年のF1ワールドチャンピオン、デイモン・ヒルは、F1サンパウロGP予選でまたも戦略的判断を誤ったフェラーリのチーム体制を批判するだけでなく、シャルル・ルクレールにも苦言を呈した。
ルクレールはインテルラゴスでのF1-75に上位を狙える競争力があると感じていたものの、スリックタイヤでラップを刻むチャンスを逃し、ノータイムのQ3最下位10番手に甘んじた。
インターミディエイトを履いてコースインしたのは1台のみ。少なくともQ3開始時点の路面は溝なしのスリックで走れるほどに乾いていた。
ルクレールはライバル全車が異なるタイヤを選択した事を酷く気にかけ、大して雨は降っていないと何度も報告。タイヤ交換すべきではと仄めかした。
だが、レースエンジニアのシャビエル・マルコス・パドロスは、ステイアウトしてプッシュしろとの指示を貫いた。フェラーリは路面状況がどちらに転んでも良いように、2台でタイヤ戦略を分ける決定を下した。
アウトラップ終了間際、フェラーリは急遽ピットインを指示したが時すでに遅し。ピットレーン入り口を通り過ぎたルクレールは「そいつはナイスだ」と皮肉を飛ばした。
そしてジョージ・ラッセル(メルセデス)のコースアウトに伴い赤旗が振られた後、ルクレールを除く全車がソフトタイヤで計測ラップを終えた事を知らされると「見事だ、実に素晴らしいよ!みんな」と再び嫌味を口にした。
サンパウロでの失態についてSky Sportsの放送の中でヒルは「兎にも角にも、(フェラーリは)基本的な部分で正しい判断を下す必要がある」と指摘した。
「フェラーリで何が起きてるのか、誰がこの状況をコントロールするのか。1年を通して何も改善されていない」
「ポテンシャルがあるだけにある意味、非常に腹立たしい」
96年に全戦で最前列を獲得し、高い一貫性を武器にジャック・ビルヌーブを破って世界の頂点を掴んだ経験を持つ62歳のイギリス人元ドライバーは、ルクレールにもまた、責任を引き受けチームを導いていく責務があると感じているようだ。
「シャルルは無線を通して『そいつはナイスだ、みんな』と言って事実上、チームを批判してはいるが、彼もまた何らかの責任を負わなければならない」とヒルは語る。
「彼らが彼にそれ(責任を引き受ける事を)を許していないのか、あるいは彼自身に引き受ける勇気がないのか」
「例えば、マックス・フェルスタッペンが『一体僕らは何をやってるんだ』と口にする姿を想像できるだろうか」
「彼はそんな風に人の目を引き付けるキャラクターの持ち主だが、それはチームのリードドライバー足る者が備えるべき要素の一つだと思う」
2022年F1サンパウロGP予選でポールポジションを獲得したのはケビン・マグヌッセン(ハース)。これにマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とジョージ・ラッセル(メルセデス)が続く結果となった。
イベント2日目の11月12日(土)は、60分間のFP2セッションに続いて日本時間28時より100kmの短距離レースで決勝のスターティンググリッドを争う「F1スプリント」が行われる。
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