安倍晋三元首相の国葬が27日、東京都千代田区の日本武道館で執り行われる。国内から約3600人、外国から約700人の計約4300人が参列する見込み。岸田文雄首相は「弔問外交」の意義などを強調するが、開催への理解は広がったとは言えず、世論が割れたままの実施となる。
国葬に参列する外国要人との「弔問外交」は、26日から始まる。東京都港区の迎賓館で行われる首相との会談は国葬前後を含む26~28日に実施され、合計で30以上に上る見通し。
参列を予定していたカナダのトルドー首相は24日、カナダ東部に上陸したハリケーン被害の対応で訪日を取りやめると発表した。主要7カ国(G7)の現職の首脳級での訪日は米国のハリス副大統領のみとなった。インドのモディ首相や豪州のアルバニージー首相らも参列。中国からは万鋼・全国政治協商会議副主席、ロシアからはシュビトコイ国際文化協力担当大統領特別代表が予定している。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も訪日する。
岸田首相は、首相経験者としては1967年の吉田茂氏以来、戦後2例目の国葬とする理由として、安倍氏の歴代最長の首相在任期間や内政・外交での実績、選挙中の非業の死であることなどを繰り返し挙げてきた。一方で地方自治体や教育委員会などへの弔意表明は求めず、「国民一人ひとりに弔意を強制するものではない」と説明してきた。
しかし、法的根拠の乏しさや総額16億6千万円と試算される費用、安倍氏と「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の関係などの問題が指摘されるにつれ、世論は反対が増加。9月8日には首相自らが国会の閉会中審査に出席し、開催の意義を改めて説明したが、朝日新聞が10、11日に実施した世論調査では反対が56%になった。報道各社の世論調査でも反対が多い状況が続く。
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