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Friday, October 1, 2021

【生きもの好〝紀〟心】キテンハタ報告の顛末① 始まりは「持ち込み」 - 産経ニュース

生きもの好〝紀〟心

キテンハタ報告の顛末① 始まりは「持ち込み」

和歌山県・串本産キテンハタ(仮)の生体写真=国島大河学芸員提供
和歌山県・串本産キテンハタ(仮)の生体写真=国島大河学芸員提供

今年1月19日に和歌山県串本町で採集された魚「キテンハタ」の標本を基に本州初記録を報告する論文が、魚類学の基礎的知見の蓄積を目指す「ICHTHY(イクチー)-Natural History of Fishes of Japan」に掲載されました。「イクチー」とは、日本産魚類の分類や分布など自然史に関するあらゆる分野の論文を、日本語で掲載するオンラインジャーナルです。

この論文の第一著者は、当時、和歌山県立向陽中学校(和歌山市)2年生だった脇本総志さん(14)で、標本採集から論文執筆まで多くの作業をご自身でやり遂げました。今回の一件は、和歌山県立自然博物館との連携により、学術的にも活用できる形で市民の発見をきちんと後世に残せた点で意義あるものと考えています。

さらに、研究者ではなく「市民の方でも珍しい生き物を発見するチャンスがある」ことを示す良い事例でもありますので、博物館へ標本を持ち込んでいただいてから、論文として公表されるまでの顛末(てんまつ)について5回にわたって紹介しようと思います。

始まりは令和2年の10月25日。脇本さんが、当館へキテンハタとおぼしき個体を持ち込んでくださったことでした。彼は魚がとても好きで、よく釣りや磯採集に出向いており、以前から当館へ生体や標本を寄贈してくださっていたという経緯があります。

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