大手企業の経営トップが参加する経団連の夏のフォーラムが30日から都内で始まり、十倉会長は、持続可能な資本主義の在り方や日本経済の成長に向けた戦略を、新しい政権に提言していく考えを示しました。
都内で行われた経団連の夏のフォーラムには、およそ40人の経営トップらが出席しました。
続いて、台湾でIT担当の閣僚として、デジタルを活用した新型コロナウイルスの対策に取り組んだことで知られる唐鳳氏、英語名オードリー・タン氏がオンラインで講演し、行政が新型コロナ対策を進めるうえで重要なことについて「信頼できる情報を国民に提供する努力を積み重ねないといけない。間違えることもあると思うが、市民の声を反映して、次のイノベーションにつなげることも大事だ」と指摘していました。
フォーラムは1日まで開かれ、経営トップらが、脱炭素やデジタル社会の実現、最新の国際情勢などについて意見を交わし、新政権への政策提言に反映させたいとしています。
“宣言解除で経済活動の正常化に期待”
フォーラムに出席した経営トップからは、緊急事態宣言が解除されることによる経済活動の正常化への期待が示されたほか、自民党の岸田新総裁に対し、成長戦略の策定やエネルギー政策などで指導力を発揮すべきとの声が聞かれました。
ANA 片野坂社長 “解除は人々が動き出すきっかけに”
緊急事態宣言の解除について「ANAホールディングス」の片野坂真哉社長は「今回の解除は人々が動き出すきっかけになるのは間違いなく、予約も増えている。去年のGo Toトラベルの時と比べて、感染者数などは改善し、ワクチンの接種も進んでいるので、年末年始に向けて人々が交流するチャンスが作られていくことを期待している」と述べました。
住友商事 中村会長 “感染収束が大事 治療薬の普及を”
「住友商事」の中村邦晴会長は「新型コロナの感染が収束していくことが大事で、そうしないと人の移動は活発にならない。ワクチン接種のさらなる進展や治療薬の普及を望んでいる。いわゆる『ワクチンパスポート』が広がり、海外などとの往来が出てくることも期待したい」と述べました。
三井住友 太田社長 “新政権 賢明にお金使って”
一方、自民党で岸田新総裁が選出されたことについて「三井住友フィナンシャルグループ」の太田純社長は「デジタルによる社会変革や脱炭素に向けた成長戦略を示し、持続的な成長にむけて賢明にお金を使ってほしい。短期的には財政再建の実現は難しいかもしれないが、中長期的にしっかり展望を示し、着実に取り組む姿勢を見せてほしい」と述べました。
日本製鉄 橋本社長 “原子力の安全活用を具体的に示すべき”
日本製鉄の橋本英二社長は「2050年のカーボンニュートラルは達成しなくてはならないが、エネルギー政策が明快ではない。原子力の安全活用を具体的な形として示すべきだ。鉄鋼業界は、新しい生産プロセスを他国に先駆けて打ち出せるよう取り組んでいるので、研究開発への支援を強力に推進してほしい」と求めました。
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