
現在の宇宙論では、宇宙は138億年前に超高温・超高圧の火の玉が爆発することで始まったと考えられています。 この大爆発のことを「ビッグバン(big bang)」と呼んでいます。 宇宙は超高温・超高圧の状態から始まり、現在も膨張を続けているのです。
■静的な宇宙
20世紀初めまでは宇宙には始まりも終わりもなく永遠不変のものだと考えられていました。 万有引力を発見したニュートンは、『宇宙が有限の大きさで有限個の星があるなら、星同士の重力でいつか収縮してしまうだろう』と指摘しています。しかし、宇宙空間が無限で無限個の星が一様に分布しているなら、静的な宇宙が存在できると考えていました。 一般相対性理論を作り上げて宇宙論の礎を築いたアインシュタインも、宇宙は静的であり、膨張や収縮などしないと考えていました。アインシュタインの理論でも重力は引力であるため、宇宙は時間と共に収縮するという結果になります。 そこで、アインシュタイン重力に釣り合う反発力があると仮定して静的な宇宙のモデルを作りました。 この反発力は一般相対性理論の方程式に宇宙項として導入されました。
■動的な宇宙
これに対して、ロシアの物理学者フリードマンは宇宙項のない一般相対性理論の方程式を解いて膨張宇宙モデルを導き出しました。 このモデルでは宇宙の中にある物質やエネルギーによる重力は働いていますが、宇宙自体の膨張でその効果が打ち消されます。 一方、ベルギーの神父ルメートルは宇宙項を導入した一般相対性理論の方程式を解いて、こちらも膨張宇宙モデルを得ました。 ルメートルのモデルでは宇宙項は膨張を加速する働きがあります。 これらの宇宙モデルが現在の標準的な宇宙モデルの元となっています。
■膨張宇宙の証拠
1929年にアメリカの天文学者ハッブルが、遠くにある銀河ほど高速で遠ざかっていることを発見しました。 銀河の後退速度は銀河までの距離に比例しているのです。この関係をハッブル-ルメートルの法則と呼びます。 法則の名前にルメートルの名前が入っているのはなぜでしょうか? 実はルメートルも1927年に発表した論文で銀河の距離と後退速度の関係の予測をしていました。国際天文学連合は2018年に開かれた総会で「宇宙の膨張を表す法則は今後『ハッブル-ルメートルの法則』と呼ぶことを推奨する」という決議を成立させています。
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