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Monday, February 1, 2021

吹け赤い旋風・聖カタリナの軌跡:/上 始まりは一人の涙 「考える野球」へ意識改革 /愛媛 - 毎日新聞

 「自分の力不足です……」。2020年8月2日、松山市のマドンナスタジアム・三塁側ベンチ。夏の県独自大会2回戦終了後、右腕の桜井頼之介投手(2年)は越智良平監督(39)の前で頭を垂れ、大粒の涙をこぼした。相手は強豪・新田。先発で登板したが5失点し、そのまま降板。チームはコールドで敗れた。

 「本当に悔しかったんだと思う。あの試合が彼を変えた」。現在はチームを支える「絶対的エース」の桜井投手について、越智監督はそう振り返る。直後から目の色を変えて練習に打ち込んだ桜井投手。日々のフォームチェックはもちろん「指先にボールが引っかかる」感覚を身につけ、球威の向上を目指した。真摯(しんし)な姿に仲間たちも心を打たれ、全体に活力が生まれ始めた。

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 旧チームの主力の大半は3年生が占めており、新チームの船出が厳しいものとある程度想像がついた。「目指すなら明治神宮大会」(当時)と宣言したが、その不安はすぐに現実のものになった。

 涙の敗戦から3日後、新チーム発足初日の練習試合。「何でこんなに点が入らないんだろう」。越智監督は心の中でうなだれた。無死三塁の場面から得点できず、ちぐはぐなプレーが目立った。

 「打つことも大切だが、それだけが野球じゃない。塁にたくさん出て、ホームベースを多く踏んだチームが勝つ」。ことあるごとにナインに言い聞かせ「戦術を用いた野球の面白さ」を説いた。実践練習でも途中中断させ「この場面だったらみんなはどう動く?」と選手自らに考えさせ、状況ごとの立ち振る舞いを徹底。意識改革に取り組んだ。

 いざ臨んだ秋季県大会。甲子園出場経験のある今治西や小松といった並みいる古豪を相手に堂々と渡り合い、1度もリードを許さず初優勝をつかむ。「強打のカタリナ」が印象づけられた瞬間だった。チームは新たな歴史を刻む第一歩を踏み出した。

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 強打を武器に、創部5年目で第93回選抜高校野球大会出場の切符をつかんだ聖カタリナ学園。チームカラーにちなんだ「赤い旋風」を甲子園で巻き起こさんと研さんに励むチームのこれまでの歩みを振り返る。

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