新型コロナウイルスの世界的流行が始まって1年になります。依然として感染拡大が続いて医療逼迫が懸念される日本では緊急事態宣言の延長が検討されているようですが、ここロサンゼルス(LA)では新規感染者・入院患者数共に減少し、感染爆発のピークは脱したものと見られています。昨夏には一旦、感染者数が減少して小康状態となっていたものの秋以降、再び新規感染者数が急増。特にハロウィーン、感謝祭、クリスマス、そして新年と10月末から約2か月間に渡って大きなイベントが続いたアメリカでは、この時期に多くの人が「不要不急の移動や旅行、同一世帯以外の人との集まりを禁止する」という当局の指針を無視して大移動し、家族や友人らと集った結果、新規感染者数が激増していました。
人口1000万人のLA郡では、年末には新規感染者が連日1万5000人を超え、数週間前には集中治療室(ICU)が満床で患者が廊下だけでなく、病院の外にまで溢れ、コロナによって6分に1人が亡くなるという最悪の事態に陥っていました。救急搬送に10時間以上要したり、心肺停止など助かる見込みの少ない患者の搬送を行わないケースも出るなど深刻な医療崩壊も起きていましたが、ホリデーシーズンの終了で人の移動が激減したことなどから流行が落ち着き始めたと見られています。
感染が減少傾向に転じたことを受けてカリフォルニア州は、昨年12月6日から実施していた2度目のロックダウンを解除することを発表。LA郡も29日から飲食店の屋外営業の再開を認め、閉鎖されていた理美容室やジムなども営業を再開しています。
LA郡当局は、夜間外出禁止令の解除や屋外で最大3家族、合計15人までの集まりも容認することを発表していますが、「今はまだガードを下げる時ではない」と警告を発し、他の州や地域に比べると依然厳しい規制が取られています。アメリカは州や郡によってまったく異なる感染対策を行っており、LAは全米の中でもかなり厳しい政策がとられていますが、感染収束の兆しが見えないことにいら立つ市民も少なくありません。一方で、爆発的な感染の峠は越えたものの、依然として感染者の人数自体は小康状態だった夏の状況には程遠く、変異種も確認されていることなどから、専門家からは規制緩和に懸念の声も出ており、経済活動再開と感染予防の両立が今後の課題となりそうです。
現在も1日の新規感染者数は7000人前後で、死者数も200人を超えているLAで、今回発表された規制緩和によって認められた経済活動を紹介します。
●飲食店は屋外飲食のみ可能で、50%以下の収容人数での営業再開が認められています。一方、ソーシャルディスタンス確保のために各テーブル間は約2.5m離すことや1テーブルには最大6名まで、同一世帯の人に限るなどの制限が設けられています。また、飲食中のスポーツ観戦を避けるため、テレビの設置は禁止されています。
●ミュージアム、動物園、水族館は、収容人数50%で屋外営業のみ可能。
●ミニチュアゴルフ場、ゴーカート場、バッティングセンター、スポーツジムは、収容人数50%で屋外営業が可能。
●ヘアサロン、理髪店、ネイルサロンなどは収容人数25%で屋内営業が可能で、ショッピングモールやショッピングセンター、小売店も収容人数25%で屋内営業が認められています。
●ホテルはビジネスの他、個人旅行者や観光客の受け入れが可能に。
ウイルスは時間帯や場所によって感染リスクが大きく変化するわけではなく、人の移動に伴って拡大するため、引き続きソーシャルディスタンスの確保やマスク着用、不要不急の移動自粛、可能な限り同一世帯以外の人とのマスク不着用での接触自粛などが求められています。
(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)
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