◆アドバイス2:60歳前に住宅ローンを完済
この金額が老後資金として足りるかどうかですが、その前に住宅ローンについて触れておきたいと思います。
完済はご主人が62歳のとき。あと5年で終わりますが、残高は340万円。予定では退職時に退職金を使って繰上返済を、とのことですが、もっと前倒しで完済してまってはどうでしょう。
一度に大きく貯蓄が減るのがご心配なら、2~3回に分けても構いません。得する支払い金利分はさして大きくはないですが、確実に得られる金銭的メリットとして考えれば、定期預金の金利よりも住宅ローンの金利1.9%の方がはるかに高いので有利です。
ときおり、ローン名義人である夫が亡くなれば、保険金でローンが相殺されるので「繰上返済するのは得策ではないのではないか」といった質問を受けます。本当にそうなればご指摘の通りですが、その確率は相当に低いものです。とはいえ、ゼロでもありません。
気になる方は、確実な利息軽減効果をとるか、あるいは不確定でもローンの相殺を優先したいと思うのか、検討してみてください。答えに悩んだら、半分にとどめるなど全額返さないのも一つです。
ただ、このまま退職時期を迎えるよりは、いまから少しでも繰上返済をする方が得策だと考えます。
さて、繰上返済を今すぐしたと仮定すると、ローン残高分の340万円(繰上返済の手数料は考慮せず)が貯蓄から減りますが、同時に住宅ローンの支払い月額6万円がなくなります。
それを3年分とすると216万円。差し引き124万円を、先の3396万円から引いた3272万円が、住宅ローンを完済した場合の60歳時での手持ち資金となります。
これを老後資金とすれば、60歳でご主人が定年退職し、再就職もしないとしましょう。もしも、老後にかかる生活費が現状のまま変わらないとすると、教育費と住宅ローンがなくなっていますから、月額11万円。
これは相当に抑えられた額なのですが、これが維持できれば、公的年金だけで十分カバーできるかもしれません。
つまり、先の3272万円は日々の生活では取り崩さなくて済むということです。そう考えれば、老後資金について過度に心配しなくてもいい気もしますが、いかがでしょうか。
加えて、奥様のパート収入や企業年金も加算されれば、さらに余裕資金が増えます。ただし、企業年金は先の退職金に含まれている(企業年金を一括し、退職金に上乗せした額)というケースも考えられます。事前にしっかり確認しておいてください。
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