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Tuesday, November 3, 2020

「初任給1000万円」高額報酬のみでは、デジタル人材は獲得できない どうする? - ITmedia

デジタル人材への向き合い方

 デジタル人材の獲得に向けて高額の報酬を提示し、大学や大学院でAIやデータサイエンスを学んだ新卒人材を特別処遇枠で採用する、といった今日の動向はまさに「War for Talent」の様相を呈しているといえる。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 デジタル人材には外部市場価値が存在することと、非デジタル人材と比較すると流動性(離職率)が高いために、高額報酬による採用、株式型報酬によるリテンションが話題になりやすいが、これらのデジタル人材は何にひきつけられ、どのような要素に対してモチベーションを感じるのだろうか。

 デジタル人材に対する人材戦略を検討する上では、非デジタル人材と比較してどのような違いがあるのかを深く理解する必要がある。野村総合研究所(NRI)が2月に実施した「ワークモチベーション調査」では、これまで一般的だったデジタル人材のモチベーションや志向性とは異なる結果が判明した。

 早速、その調査結果を考察し人材戦略への示唆をご紹介したい。

著者紹介:内藤琢磨

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 (株)野村総合研究所 コーポレートイノベーションコンサルティング部 組織人事・チェンジマネジメントグループ グループマネージャー 上席コンサルタント。

 2002年野村総合研究所入社。国内大手グローバル企業の組織・人事領域に関する数多くのコンサルティング活動に従事。専門領域は人事・人材戦略、人事制度設計、グループ再編人事、タレントマネジメント、コーポレートガバナンス。

 主な著書・論文に『NRI流 変革実現力』(共著、中央経済社、2014年)、『「強くて小さい」グローバル本社のつくり方』(共著、野村総合研究所、2014年)、『デジタル時代の人材マネジメント』(東洋経済新報社、2020年)などがある。


デジタル人材の全体傾向

 本調査はWebアンケート形式でデジタル人材(デジタルビジネスに直接的に関与している社会人)、非デジタル人材(上記以外)に対して、ワークモチベーションに関する回答を得た。

 モチベーションの源泉については、以下の5つの領域を選択肢として尋ねた。

A)経営理念・ビジョンなどに関する共感

B)組織風土・マネジメントスタイルなどに関する共感

C)給与などの労働条件の魅力

D)職場の労働環境(物理的な働きやすさ)

E)やりたい仕事(スキルアップ・成長につながる仕事)ができること

 デジタル人材全体と非デジタル人材全体では、上記5つのモチベーションの中でのトップは共に「給与などの労働条件」であり、「職場の労働環境」「やりたい仕事ができること」と続く順位についても同様の傾向を示した。

 一方で「経営理念・ビジョンなどに関する共感」や「組織風土・マネジメントスタイル等に関する共感」については、デジタル人材の回答率が非デジタル人材の回答率を大きく上回る結果となった(図表1)。

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 デジタル人材の獲得やリテンションにおいて、近年話題になっているのは年齢に限らずスキル次第では高額となる外部市場価値の存在である。大学や大学院においてAI やデータサイエンスを学んだ学生には、新卒社員であっても1000万円以上の初任給を提示する企業も今や珍しくなくなった。

 しかしながら、例えば東京大学でAIを学んだ学生が新興スタートアップ企業に就職する例も増加しており、報酬だけでは新卒学生をひきつけることもできなくなってきている。また、新興スタートアップであっても大手企業やベンチャーキャピタルからの投資資金がこうした人材の獲得資金に回っており、報酬のみを前面に打ち出した人材獲得戦略は通じなくなりつつある。

デジタル人材への向き合い方

 本調査で確認できたのは、デジタル・非デジタル人材共に給与等の労働条件、そしてやりたい仕事ができることはワークモチベーション向上の前提条件となるという通説に加えて、デジタル人材に関しては経営理念やビジョンが自らの価値観に合致するかといった点、その企業や組織の組織風土やマネジメントスタイルの在り方がワークモチベーションに一定の影響を及ぼすといった点である。

 これらの結果は、企業の上位概念やマネジメントスタイルをどのように社内のデジタル人材に対して打ち出していくかが、人材マネジメント上重要な課題となることを示唆している。評価や処遇ならまだしもこうした課題に関して自社としてどうすべきかを、人事部門のみに委ね、任せておくのは不適切である。この問題は経営として取り組むべき課題といえる。

 本調査では、同じデジタル人材についても組織内のポジション・階層によるワークモチベーションに違いがないかについても考察している。

 その結果、デジタル人材の中でも、経営層や事業責任者クラスにあたる上位階層はさらに経営理念、ビジョンなどや組織風土・マネジメントスタイルなどを重視する傾向が強いことが分かった。

 この結果は極めて当たり前のように見える。経営や事業の責任を負っている立場の人材であれば当然に自身のミッションを果たす上で経営理念やビジョンに対する共感や組織風土・マネジメントスタイルに対する一定程度の理解や納得感が前提となるからである。

 しかし本調査では、非デジタルの経営層、事業責任者層についても源泉となるワークモチベーションは何かという同様の質問をしているが、回答の上位は「やりたい仕事」や「給与などの労働条件」という回答結果であった。

 例えばデジタル人材の経営層は上位概念(経営理念・ビジョンなど)に対する共感重視が38.5%に対して、非デジタル人材の経営層は13.9%。逆にデジタル人材の給与などの労働条件に対する共感重視が18.0%に対して、非デジタルの経営層は31.9%といった具合である(図表2)。

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 この傾向は経営層に限らず、事業責任者層でも類似の傾向となった。こうしたデジタル人材、非デジタル人材のワークモチベーション格差は上位階層ほど拡大する傾向が確認された。

 昨今、日本に限らず人材マネジメントの取り組みの一つとして社員のエンゲージメント強化の動きが見られる。本調査結果は、一般社員やミドルマネジメント層に限らず経営層や事業責任者クラスでも、デジタル系、非デジタル系のそれぞれが異なるワークモチベーションを有することを示した。

 これを踏まえると、デジタル人材に関しては単に管理職向け、一般社員向けという区分ではなく、よりきめ細かな人事・人材施策を展開していく必要性を示唆しているといえる。

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November 03, 2020 at 02:00PM
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