2020年4月26日(日)
イスラム教徒、困窮者支援
危機の時こそ連帯
【カイロ=秋山豊】エジプトで24日、イスラム教のラマダン(断食月)が始まりました。今年は新型コロナウイルスの流行で様相が一変、貧困層に影響を与えています。首都カイロ近郊では、多くのイスラム教徒が生活困窮者を支援しています。
「イフタールの食事会が禁止されたから、いつもより多く買ったよ」。民間企業の営業部長というアースムさん(30)は、自身が会員となっている射撃場の労働者に、温かいご飯とチキンを手渡しました。
イフタールとは日中の断食後の最初の食事です。この時期、イスラム教徒は日の出から飲食を断ちます。これが日没後には祝いのムードとなり、貧困に苦しむ人も、裕福な人も、街中に並べられたテーブルで無償の食事を楽しみ、語り合います。断食は、飢える人の苦しみを思いやるためとも言われます。
この光景が街からなくなりました。感染拡大を抑えるため、公共の場での集団による食事も、夜間外出も禁止されています。「食料は持ち帰り、家で食べよう」という広告も張り出されています。
別の場所で食料を受け取ったサブリさん(52)は最近、働いていたお土産屋を解雇されました。「この支援のほかに、家族に食べさせられるものがない」と、政府による支援拡充が必要と語りました。
不動産業のフセインさん(28)が支援した人には救急隊員もいました。「危機の時こそ、社会的な連帯を強めたい。コロナに打ち勝ち、来年はラマダンの伝統を取り戻したい」と語りました。
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April 25, 2020 at 06:03PM
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