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Friday, December 22, 2023

【開幕】「正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史」明治神宮ミュージアムで2月25日まで - 読売新聞社

【開幕】「正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史」明治神宮ミュージアムで2月25日まで

「模造 螺鈿紫檀五弦琵琶」宮内庁正倉院事務所蔵

「正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史」展が12月23日(土)から明治神宮ミュージアムで始まります。開幕前日の内覧会を取材しました。宝物の保存と地続きにある「再現模造」を通じて、1300年前に聖武天皇や光明皇后が見た”色”、聴いた”音色”を説明無しでも想像できる展覧会です。

平成23年から30年まで8年の歳月をかけて製作された「模造 螺鈿紫檀五弦琵琶」宮内庁正倉院事務所蔵、前期(1月24日まで)展示。後期(1月26日から)は東京国立博物館蔵の明治時代の模造を展示

正倉院宝物の模造は単なるレプリカではありません。材料から工法まで、製作当時と同じになるように研究しながら再現したものです。模造 螺鈿紫檀五弦琵琶は、原品は世界で唯一現存の5絃の琵琶(現在は4絃)。象牙を紅色に染めた撥(ばち)のように1300年の間に失われた技法自体を”再現”することも。

模造 紅牙撥縷撥(こうげばちるのばち) 昭和58年(宮内庁正倉院事務所蔵)。国家珍宝帳に記載のある四絃琵琶に付随する撥(ばち)の模造。白い象牙の表面を紅色や紺色に染めたあと、彫刻して白い素地(きじ)を出して図柄や文様を表現する技法「撥縷(ばちる)」は奈良時代以降絶えてしまっていが、明治時代以来、再現が試みられてきたという

外見だけでなく楽器としての機能も含めて再現された「模造 螺鈿紫檀五弦琵琶」が奏でる音色が会場に流れています。また有料スペース外には、約4キロにもなるその重さを体感できるコーナーも。「紫檀(したん)はとても重い木材」と実感しました。

正倉院宝物の保存状態の素晴らしさは世界的にも奇跡と呼ばれ、奈良博の正倉院展で鑑賞する時、1300年の長い時間を経た古色は、むしろ歴史と貴重さを感じます。ただ、天平の人たちが好んだ当時のビビッドな色は、こうした再現模造でこそ、現代の私たちも同じ気持ちで鑑賞できるかもしれません。

模造 酔胡王面 平成14~15年(宮内庁正倉院事務所蔵) 原宝物の写真と見比べることができる
模造 紺玉帯 昭和55年 宮内庁正倉院事務所蔵 青い部分はラピスラズリが使われている

「正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史」は明治神宮ミュージアムで12月23日から2月25日まで(木曜休館、1月4日は開館)。観覧料金一般1500円。同ミュージアムは明治神宮境内にあり、JR原宿駅から徒歩5分です。

特設ショップでは豊富な正倉院宝物グッズを購入できる

(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)

正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史
会期:2023年12月23日(土)~2024年2月25日(日)
休館日:木曜日 ※1月4日は開館
会場:明治神宮ミュージアム(東京都渋谷区代々木神園町1-1)
開館時間:午前10時~午後4時30分まで(入場は閉館の30分前まで)
初詣期間中、開館時間を延長する場合があります
観覧料: 一般1,500円、高大学生1,000円(税込)
※中学生以下無料 ※障がい者手帳をお持ちの方はご本人様のみ無料
※明治神宮崇敬会会員は無料 ※学生の方は入場の際、学生証を提示ください
アクセス:JR「原宿」駅表参道改札西口から徒歩5分、または、東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前〈原宿〉」駅2番出口より徒歩5分
※明治神宮ミュージアムは明治神宮境内にあります。
詳しくは同館の展覧会HPへ。

※1月20日(土)には、正倉院宝物の魅力や模造製作の歴史などを、西川明彦・前正倉院事務所長が語る記念講演会が明治神宮参集殿で行われます。午後1時〜午後2時30分まで。料金1,000円(※展覧会観覧には別途入場料が必要)。チケット購入は美術展ナビチケットアプリ(スマホ)で。

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