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Sunday, December 24, 2023

全町民に1本ずつ配った苗木が始まりだった…畜産のまち曽於が「ユズ」生産量でも九州一を誇る策とは? | 鹿児島のニュース - 南日本新聞

搾汁センターに搬入されるユズ=曽於市末吉

搾汁センターに搬入されるユズ=曽於市末吉

 九州一のユズ生産量を誇る鹿児島県曽於市の今季の収穫が12月上旬で終わった。畜産のまちとして知られるが、市はユズの栽培でもさらなる増産を目指す。ただ、生産者の高齢化に伴って担い手確保が最大の課題となっており、先行きは見通せない。

 都道府県別のユズの生産量(2020年産)は、全国一が高知県の1万2958トンで国内のほぼ半分を占める。以下、2位徳島県(2951トン)、3位愛媛県(2804トン)と四国勢が続く。

 鹿児島県は4位(1244トン)で、その99.8%(1242トン)を生産するのが曽於市だ。今季は1281トン(1億6400万円)で過去2番目の収量を上げた。

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 末吉町二之方にある「市ゆず搾汁センター」には10月末から、ユズを載せた生産者の軽トラックなどが連日、荷下ろしをしてきた。建物や設備は市有だが、指定管理者の三セク「メセナ食彩センター」がユズをそっくり買い取って搾り、冷凍保管する。4ラインある搾汁設備では足りず、市は来年度、倍の8ラインに増やす。

 曽於市でユズ栽培が本格的に始まったのは1980年代。旧末吉町役場の新庁舎落成を記念して全町民(約7000戸)に苗木が1本ずつ配られ、5戸の農家が試験的に栽培した。高齢者の生きがいづくりになるとの狙いもあったという。

 89年には農家などが「ゆず栽培同好会」を結成。植え付け、せん定などの講習会を開いたり、病害虫の防除に力を入れたりしてきた。市は支援策として1反(約990平方メートル)あたり最高1万円の補助金や苗木のあっせんをする。2004年に60ヘクタールだった栽培面積は現在、97ヘクタールまで拡大。将来的には180ヘクタールを目標に据える。

 同好会のメンバーは現在約360人。4代目の会長を務める松永安雄さん(76)=末吉町諏訪方=は「まずは現状維持をどう図るのかが最優先課題」と話す。会員の平均年齢は70代前半だといい、高齢化が進むにつれて作業は難しくなるからだ。

 現在、地区ごとの出荷割り当てなどをする班が50あるが、松永さんは「子どもなどが引き継げる家庭ばかりではない。今後は数人ずつで共同管理するような手だても検討しなければならないのでは」と指摘する。

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 風味付けや薬味などユズの用途は幅広い。メセナ食彩センターの売り上げの約7割は原料の果汁や皮の販売。国内メーカーはもとより、一部は商社を通じて米国やウクライナなど海外へも輸出している。

 残りの3割ほどが自前で加工した約30種の商品だ。国道10号と広域農道(そお街道)が交わる同市末吉の「道の駅すえよし」。店内の一角には、せんべいやゼリー、たれ、こしょう、ドレッシングなど自慢の品が並ぶ。贈答品としても人気があり可能性は広がる。

 新商品開発や販路開拓が進む「曽於のユズ」。市が目指す増産につなげるためにも、担い手確保の戦略が求められる。

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