9月から10月にかけての「芸術の秋」の開幕ラッシュも落ち着いてきました。11月も、皇居三の丸尚蔵館の開館、きっと伝説になるがキャッチフレーズの「北宋書画精華」(根津美術館)、新たな美術品鑑賞の方法まで提示する「日本画の棲み家」(泉屋博古館東京)など注目展が始まります。また、大阪中之島美術館の「生誕270年 長沢芦雪」や京都市京セラ美術館の「竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー」が11月7日から後期となり、それぞれポスタービジュアルに採用されている作品の展示が始まります。東博のやまと絵展も11月7日から後期入りし、大きく展示作品が変わります。後期の目玉はいずれも国宝の三大装飾経(久能寺経、平家納経、慈光寺経)が揃うところです。
皇居三の丸尚蔵館開館記念展「皇室のみやび-受け継ぐ美-」皇室三の丸尚蔵館 11月3日~
三の丸尚蔵館が展示室を大幅に拡大して「皇居三の丸尚蔵館」としてオープンします。半年以上(約8か月)にわたる開館記念展は4期に分かれており、第1期では国宝《蒙古襲来絵詞》、国宝伊藤若冲《動植綵絵》などが並びます。混雑必至で、当面はオンライン日時指定予約制が導入されます。
特別展「北宋書画精華」根津美術館 11月3日~
東博の「やまと絵」展が話題を集めていますが、「やまと絵」を考えるときに欠かせないのが、ある意味で対となる中国由来の「唐絵(漢画)」。特に中世以来、唐物愛好の流れの中で「南宋」(1127~1279年)の作品が賞玩されてきました。では、その前の「北宋」(960~1127年)は? 日本ではだいだい平安時代にあたる北宋の書画芸術の真髄に迫る注目の展覧会です。「きっと伝説になる」の攻めたキャッチフレーズに違わない内容となりそうです。会期が12月3日までと短いのでご注意を。日時指定予約制。
「日本画の棲み家」 泉屋博古館東京 11月2日~
江戸時代までは床の間など身近な距離に置かれた美術品は、近代化以降、多くの人が大きな会場で同時に観賞する「展覧会芸術」へと観賞の仕方が変化していき、それに伴い作品の方も、大型化や奥行き、”映える”色彩など変化していきました。こうした近代前後の日本画の変遷をたどると同時に、今回、現代の若手作家たちに「床の間芸術」の新作を制作。これからのアートの鑑賞方法についても提起する意欲的な展覧会です。
「表装の愉しみ -ある表具師のものがたり」 泉屋博古館 11月3日 ~
京都の泉屋博古館は、この展覧会を最後に、2025年春まで改修のため長期閉館となります。12月10日まで。
以下、開幕日順に一覧にしました。
11月1日 大巻伸嗣 真空のゆらぎ 国立新美術館
11月1日 葛飾応為「吉原格子先之図」 ―肉筆画の魅力 太田記念美術館
11月1日 アンデスの染織品 女子美アートミュージアム
11月2日 日本画の棲み家 泉屋博古館東京
11月2日 アートウィーク東京 都内各所 11月5日まで4日間
11月3日 皇居三の丸尚蔵館開館記念展「皇室のみやび-受け継ぐ美-」 皇室三の丸尚蔵館
11月3日 日展 国立新美術館 11月26日まで
11月3日 表装の愉しみ -ある表具師のものがたり 泉屋博古館
11月3日 NHK大河ドラマ特別展 どうする家康 静岡市美術館
11月3日 今村源 遅れるものの行方 水戸芸術館現代美術ギャラリー
11月3日 ガラスの器と静物画 広島市現代美術館
11月11日 生誕140年 竹久夢二のすべて 高崎市美術館
11月14日 翔んで埼玉展 角川武蔵ミュージアム
11月15日 大倉組商会150周年 偉人たちの邂逅 近現代の書と言葉 大倉集古館
11月16日 いのちをうつす 東京都美術館
11月17日 生誕120年 古賀忠雄展 塑造(像)の楽しみ 練馬区立美術館
11月18日 冨樫義博展 福岡市博物館
(大阪展の記事)
11月18日 倉俣史郎のデザインー記憶のなかの小宇宙 世田谷美術館
11月18日 発掘された珠玉の名品 少女たち 新潟市美術館
(京都展のレビュー)
11月18日 となりの国の絵本 躍動する韓国イラストレーションの世界 横須賀美術館
11月18日 111年目の中原淳一展 そごう美術館
11月22日 初公開の仏教美術 ―如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえて― 半蔵門ミュージアム
11月23日 コシノジュンコ 原点から現点 あべのハルカス美術館
11月25日 テルマエ展 大分県立美術館
(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)
からの記事と詳細 ( 11月に始まる美術展・展覧会 皇居三の丸尚蔵館の開館、北宋書画 ... - 読売新聞社 )
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