Pages

Friday, May 5, 2023

【新世紀につなぐ】(3)始まりの年 ゆず湯ウナギ:北陸中日新聞 ... - 中日新聞

標識「う」に観光の鍵

 ウナギを宇奈月温泉の特産品にする。二〇二一年に黒部市内のウナギ好き有志が集まって始まった黒部Uプロジェクト。翌二二年度からはプロジェクト協議会を立ち上げて、県と協定を結び、三年計画で県水産研究所(滑川市)と、宇奈月温泉水につけたウナギと温泉水に塩分を含ませた塩水でのキジハタ養殖の共同研究をしている。

 発起人の一人で、一般社団法人黒部・宇奈月温泉観光局の川端康夫代表理事は「今年はウナギの実業化に向けた勝負の年。旅館などで出す場合には安定供給はもちろん、どこまで調理し、どういった形で提供するかを詰めていかないと。その前に市内で一店でも二店でもウナギを出してもらえる店を探さないと」と力を込める。

■ ゆず湯ウナギが一番
 昨年十一月にユズをそのまま入れた温泉水二週間、温泉水だけ二週間と一週間、池の水で無給餌飼育したウナギを食べ比べた。「ゆず湯」で飼育したウナギが「柔らかい」「香りがいい」と一番人気。研究所によるウナギの皮の荷重試験でも、ゆず湯ウナギの皮は他の80%ほどの荷重で裂け、柔らかさが数字で実証された。二番目に柔らかかったのは温泉水一週間。研究所の担当者は「条件を詰めて再現性を確認したい」と話した。

 課題はウナギ養殖の新規参入の難しさ。他から仕入れたウナギに餌を与えることができない。川端さんは「二次養殖(肥育)を黒部、あるいは宇奈月での地産地消に限って良いから、許可してもらえないかと働きかけている」と話した。「温泉水を使えば、ウナギが最も活性化する水温三〇度を保つことは易しい。餌をよく食べ、よく太るのに」と苦笑も浮かんだ。

■ 塩分三分の一でOK
 一方のキジハタ養殖。昨年度、研究所は海水相当の塩分濃度、海水の三分の二程度、三分の一程度の濃度の塩水を使い、塩水を循環させる閉鎖水槽内で飼育実験をした。塩分濃度は海水の三分の一程度で十分なことが分かった。

 「塩分濃度は飼育コストに直結する。もっと大きな閉鎖水槽で飼育し、安定供給ができるようにしていきたい」と期待した。

 川端代表理事らはなぜ宇奈月のウナギを考えたのか。「宇奈月行きの方向を示す道路の案内標識で『宇奈月』の文字の前にある『う』の字がウナギに見えて。実現するとPR効果は絶大だと感じた」

■ 温泉水の日本酒も
 プロジェクトとは別に、宇奈月温泉女将(おかみ)の会「かたかご会」監修で市内の銀盤酒造、皇国晴酒造の二社が温泉水を使った日本酒を開発している。三月にあった試飲会での評判は上々。商品化が待たれる。

関連キーワード

おすすめ情報

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 【新世紀につなぐ】(3)始まりの年 ゆず湯ウナギ:北陸中日新聞 ... - 中日新聞 )
https://ift.tt/VOaAulZ

No comments:

Post a Comment