「東千葉メディカルセンター」(東金市)の人工心肺装置ECMO(エクモ)購入を巡る贈収賄事件で、昨年二月にエクモを調達する際の仲介業者に、当初は贈賄側の業者とは別の一社のみが選定されていたことが捜査関係者への取材で分かった。県警は、収賄の疑いで逮捕された同病院の臨床工学技士長吉野英樹容疑者(62)が、贈賄側の「日本メディカルオネスト」も加わるよう指示したとみて捜査している。また、県警は一日、同病院を家宅捜索した。(鈴木みのり、蓮村瑞希)
捜査関係者によると、吉野容疑者は、二〇一九年四月に同病院に採用される前の医療機器卸売会社に勤務していた時、贈賄容疑で逮捕された真々部良輔容疑者(63)と知り合ったとみられるという。
同病院は逮捕から一夜明けた二日、会見を開き、河野陽一理事長が「このような不祥事を引き起こし、深くおわび申し上げる」と謝罪した。
エクモ購入を巡る同社の仲介は「把握していなかった」と説明。コロナの重症患者が多く短期間で購入する必要があり、機器の選定経過が不透明だったとした。河野理事長は「選定の体制や組織の運営を正すのが課題。再発防止と信頼回復に努めていく」と話した。
◆医療過疎地の中核病院 市民「うみ出し切って」
東千葉メディカルセンターは、国内でも医療過疎が特に進む地域の中核病院だ。しかし、以前から運営体制が問題視されており、市民からは「立件されたのは不正のごく一部。うみを出し切ってほしい」との声も上がる。
同院は二〇一四年に開院し、東金市と九十九里町が出資する地方独立行政法人が運営する。国内でも医師、看護師不足が深刻な「山武長生夷隅保健医療圏」では唯一、重篤患者が救急医療を受けられるが、毎年十億円以上の赤字を計上。これまで、県や両市町から約百三十億円の補助金を受けている。
不正運営が指摘され始めたのは、内部告発文がネット上に流れた二〇年十月。外部の弁護士らを委員とする第三者委員会などの調査の結果、特定業者への高額な業務委託契約や一部職員への過剰な給与支給など、内部規定違反が次々と判明した。損害は少なくとも四億円という。両市町はこれまで、運営体制の透明性の確保などを求め、是正命令を三回出した。
一連の問題を注視してきた同市の女性(71)は「(同院の)ゆるい体制にはあきれるが、地域にとってなくてはならない存在でもある。住民の税金を使っていることを自覚し、立て直してほしい」と願う。
県内の大規模病院の幹部は「普通の病院ではありえない事態だ」と強調。「地方独立行政法人の職員は『みなし公務員』扱いとなるが、その意識が薄いのでは。まずは両市町から積極的に人材を送り出すなどして職員の規範意識を高めるべきだ」と指摘する。(鈴木みのり)
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