NTT(日本電信電話)と東京大学は2022年10月7日、貴金属や有害物質を含まない回路と電池を搭載したセンサーデバイスを作製し、通信信号の生成に成功したと発表した。環境経由で人間や動植物に影響を与える恐れがなく、回収や分別をしなくても廃棄できる低環境負荷のデバイスを目指す。
IoTネットワークの概要と低環境負荷センサーデバイスの位置付け 出所:NTT
IoT(モノのインターネット)とネットワークサービスの拡大に伴い、センサーデバイスが増えると、回収されずに廃棄されるものも増える可能性がある。既存の回路や電池には、有害物質のヒ素(As)や貴金属のルテニウム(Ru)を含むものもある。NTTは2018年に、低環境負荷電池のコンセプトを実証するため、肥料成分と生物由来材料から成る「ツチニカエルでんち」を発表している。
今回、両者は「資源性を考慮し、貴金属を使用しないこと」「有害性を考慮し、原則、環境経由で人間や動植物に影響を与える恐れのある化学物質群を使用しないこと」を念頭に、7種類の元素(H、C、N、O、Mg、Al、S)で構成した「低環境負荷回路」と「低環境負荷電池」を作製した。
実証試験では、有機半導体技術を利用したアナログ発振回路やデジタル変調回路を備えた低環境負荷回路、カーボン電極の低環境負荷電池、オシロスコープなどを用いて、4ビットの通信信号を出力できることを確認した。
現在は、低環境負荷指向のセンサーデバイスに関する明確な定義がなく、社会的コンセンサスも不十分だ。両者は今回の成果をきっかけとして、低環境負荷に対する議論が深まることを望んでいる。また、低環境負荷ならではのサービス創出を目指す。
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