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Thursday, October 27, 2022

谷均史医師、強い「こだわり」は最高の「特技」の始まりです - 大手小町

子どもたちは誰しも成長するにつれ、食べ物、遊び、着るものなどにこだわりが見られるようになってきます。中でも自閉症スペクトラム障がいの子どもは「脳の特性」から、自分の意思とは関係なく非常に強いこだわりが見られることがあります。

例えば、同じメーカーのポテトフライしか食べない。電車を見ることが好きでたまらない。テレビで同じコマーシャル、同じ漫画の一場面を繰り返し何度も見る。同じ服しか着ない。幼稚園や学校には同じ道で行き、別の道を行くとパニックになる。

これらは脳の特性によるもので 同じもの、同じ言葉、同じ行動に安心感を抱き、未知のもの、見通しがつかない変化、想定できない出来事に対し、不安を感じるようで受け入れることができないのです。しかしながら、これらの脳の特性によるこだわりは、それ自体が「素晴らしい能力」でもあるのです。

見かけは同じポテトフライでも食べればメーカーがわかる。好きな電車や汽車は写真だけでほとんど名前が言える。視覚がけていて、見たままを写真のように記憶できるので、ブロック玩具やプラモデルは完成図を見るだけで組み立てることができる。

こだわり行動は脳の特性

こだわり行動は、脳の特性によるものなので、やめさせることはできませんが、その行動を少しずつ段階的に変化させることで望ましい行動や内容に変えていくことができます。

特定の食べ物しか食べない子どもが別の食べ物にチャレンジする時は、最初はなめるだけでいいのです。そして、成功したらとにかく皆で褒めて楽しい場にすることです。ごほうびを渡すのもいいですね。未知の食べ物だから不安があるので、味がわかって慣れると、次から少しずつ増やしていけます。ゲームなど、やめさせたいこだわり行為は完全にやめさせるのではなく時計のタイマーやアラームを利用し、遊んでよい時間枠を作っていくことです。

プラモデルをつくる男児のイラスト
(c)いわみせいじ

カナダで両親と暮らす重度の自閉症の青年の実話です。彼は言葉を話すことも読むことも苦手ですが、幼少期からプラモデルやブロック玩具などを組み立てることが大好きでした。

父親によると、彼は説明書が読めないにもかかわらず、図を見ただけで、部品が1000ピース、解説書が100ページに及ぶような複雑なものであっても、短時間で正確に完成させてきたそうです。父親はさらに色々なものの組み立てにチャレンジさせ、ついには2014年に「家具の組み立て代行」のビジネスを立ち上げたのです。

説明書なしで家具の組み立てをする男性のイラスト
(c)いわみせいじ

病院の外来で子どもたちの「こだわり」の話を聞くと、時にワクワクすることがあります。多くのこだわりが「特技」につながっていきそうに思えるからです。

子育て相談アドバイザーの谷均史・淀川キリスト教病院医師
谷 均史(たに・ひとし)
淀川キリスト教病院医師

1956年、大阪市生まれ。12歳の時、腎炎で入院中に、小児科がない鹿児島県・徳之島から入院していた5歳児と出会い、医師になる決心をした。新潟大医学部卒業後、徳之島徳洲会病院を経て、91年から淀川キリスト教病院に勤務。現在も徳之島と大阪を行き来し、発達障がいの子どもを支援するボランティアや講演活動に励む。朝日放送のバラエティー番組「探偵!ナイトスクープ」の医学顧問を務めるなど、テレビへの出演も多数。

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