世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)は8月11日、ビットコイン(BTC)私募投信を開始すると発表した。一部の暗号資産愛好家は、この動きは伝統的投資家に対して暗号資産を正当化することにつながるだろうと述べた。
ブラックロックの新しい私募投信によって、機関投資家はビットコインに投資できるようになる。
「デジタル資産市場の急落にもかかわらず、一部の機関投資家からは、当社のテクノロジーと商品力を使って、これらの資産に効率的に、低コストで投資する方法について、かなりの関心が寄せられている」(同社プレスリリース)
このニュースの直前には、米暗号資産取引大手コインベース(Coinbase)と提携し、顧客に暗号資産のトレーディングとカストディのサービスを提供すると発表している。
こうした動きは、銀行からヘッジファンドまで、伝統的な投資家や機関投資家が暗号資産市場に参入していることを浮き彫りにし、デジタル資産が依然として関心を集めていることを示している。
つまり、暗号資産の正当性はますます高くなり、デジタル資産はより伝統的金融業界に浸透し、その結果、新旧の投資家によって、よりアクセスしやすいものになっている。
「マネーロンダリングの指標」
しかし、世界最大の資産運用会社からの支持は、ビットコインの本来の価値と矛盾しないだろうか? わずか5年前、ブラックロックのラリー・フィンク(Larry Fink)CEOは、ビットコインを「マネーロンダリングの指標」と呼んだ。
2009年のビットコインの無政府主義的な誕生は、金融の民主化の可能性を予感させた。ブロックチェーン技術は、あらゆる人にとっての、よりオープンで安全な通貨への未来を約束した。現在、ウォール街の投資ポートフォリオで主流となりつつあるビットコインは、その革命的な成り立ちを裏切ってしまったのだろうか?
6月末、コインベースの株価は史上最安値の47.02ドルだった。だがブラックロックとの提携発表を受けて、株価は上昇している。
とはいえコインベースの株価は、ピーク時からまだ70%以上下落しており、ネット上には、ブラックロックとコインベース提携は、中央集権的金融機関による権力奪取以外の何物でもないとの声もある。
また米議会による新たな規制の可能性もあり、このニュースは、現在の「暗号資産の冬」は短いものではなく、ビットコインの終わりの始まりかもしれないとの懸念に拍車をかけている。
答えは、市場が常にそうであるように、時間だけが教えてくれる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:The BlackRock Trust: Crypto Legitimacy or the Beginning of the End for Bitcoin?
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