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Monday, June 27, 2022

収益優先、レイオフは一回のみ、そしてプラス思考で。ITバブルを生き抜いた投資家からの5つのアドバイス - Business Insider Japan

ITバブルが弾けた時は、必要な資金を調達するのが困難になった。キヴィマキは、全てのスタートアップはVCの資金が枯渇することを想定して、「今後18〜24カ月ほど、新たな資金調達なしに会社を存続させられるか」「当社の顧客は乗り切れるか」と自問すべきだと言う。なお、ワイコムの場合、答えは「否」だった。

「当社の顧客はヨーロッパの小さな通信会社でしたが、バブルが弾けると倒産してしまいました。そこでターゲットを中堅や大企業に変えて、事業計画自体を見直さざるをえませんでした」とキヴィマキは話す。

急成長するスタートアップの多くはVCからの資金に頼りがちであるものの、フェルナンドは、まずはブートストラップ(外部から資金提供を受けない運営)を検討するべきだと言う。

「常にVCを当てにするのではなく、手元の限られた資金でもやりくりできる企業であれば、市場に投資マネーが再び流入したときに、好条件で投資が受けられるでしょう。これは、特に新しい事業を始める企業に言えることです」とフェルナンドは話す。

2. 収益を優先した新たな計画を立てる

スタートアップは、厳しい現実に向き合ったうえで、自分たちの事業が利益を生むために何をすべきか徹底した計画を立てるべきだ。

その計画には、明確で具体的なアクションプランやマイルストーン(中間目標)が必要だとキヴィマキは助言する。

「収益性を確保して生き残るということは、人員などのコストを概ね3~6割程度、大幅に削減することを意味します」とキヴィマキは指摘する。

「そして、自社のアピールには、継続的な成長よりも効率化とコスト削減という観点を強調すること、つまりCEOよりもCFO向けの内容にシフトしなくてはいけません」

変化のスピードも重要だ。仮に、人員削減や事業転換を図るのであれば、すぐに実行に移すべきだとフェルナンドはアドバイスする。

「そして、軌道修正する際にはリスクをとること。結果はどうあれ、長々と議論したり検討したりするよりもスピードを重視することです」

3. レイオフは1回のみ、大胆に行う

スタートアップ界隈はもっぱら解雇の話題でもちきりだ。

レイオフが実施されるのは残念なことだが、実際に必要となる場合が多いということは否定しようのない事実だとキヴィマキは言う。そして、「やるなら大幅に削減し、1回だけにとどめるべき」と助言する。

不安は職場の活気を失わせ、従業員のやる気をそぐ。レイオフは1回に限り大胆に行い、もう2度目はないと従業員に伝えることが大切だとキヴィマキは言う。

「そして、競合他社が何度もレイオフを繰り返して会社をダメにするのを尻目に、チームを立て直しましょう」と続けた。

レイオフは残された従業員にもショックを与えてしまうので、スタートアップは、自社への信頼を高める企業文化の醸成にも力を入れるべきだとマッキンタイアは言う。

「レイオフを実施すると、これまでに築き上げたチームの強い絆が引き裂かれてしまい、さらなる大量退職の波を引き起こす可能性があります」と、2008年のリーマンショック時にグーグルのディレクターを務めていたマッキンタイアは話す。

「経営者は、周りに強いシグナルを与えられる従業員、つまり、社内で影響力があり、優れた成果を出す従業員をつなぎとめなくてはいけません」

4. コミュニケーションで従業員の士気を高く保つ

スタートアップでは、従業員たちは一丸となって業務に取り組む傾向があるため、スキルアップやキャリア形成の機会が豊富にある。しかし、成長の鈍化と共に、それも変わってくるとマッキンタイアは忠告する。

嵐を乗り切るために、管理職は従業員を鼓舞し、モチベーションを高めなければならない。5年ではなく1年単位で従業員が自ら描く将来像に基づいて、具体的かつ体系的なキャリア支援を行うべきだとマッキンタイアはアドバイスする。「積極的に社員の声に耳を傾けることが重要」という意見だ。

また、マッキンタイアは、トップダウン経営への懸念を払しょくするために、第一線のピープルマネジャー(メンバーのキャリアや働き方などの成功や成長にコミットするマネジャー)をリーダーとして登用するよう助言する。

「見過ごされがちですが、ピープルマネジャーは誰よりも多くの部下を持っています。部下をうまく率いるために、マネジャーには適切な情報を与え、コーチング型マネジメントのスキルを高めてもらうことが重要です」

5. チャンスはある。プラス思考を保つこと

どんな不況もチャンスになる、とキヴィマキとフェルナンドは口をそろえる。

このような時期に会社を立ち上げると、「資金力のある企業に負けることはない」という考えから、フェルナンドは起業するなら今がベストタイミングだと信じている。

「今なら、少ない資金でも成功するチャンスが高いです。なぜなら、既に実績のある大手のスタートアップは資金調達に奔走していますからね。新たなビジネスモデルを立ち上げて、コストを低く抑えられれば勝算はあります」とフェルナンドは話す。

キヴィマキもこう付け加える。

「不況を生き残ったときには、おそらく競合の半分が淘汰され、あなたのチームは強く結束し、製品に新たな付加価値を生み出していることでしょう。そうすればきっと、次の好景気の恩恵を他社に先駆けて受けられるはずです」

[原文:Stay optimistic, pivot to profit, and cut jobs in one go. Investors who navigated the dot-com crash give founders 5 tips on surviving the downturn.

(翻訳・西村敦子、編集・大門小百合)

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