東京都東村山市で今年5月に4人が死亡した民家火災は、異例の展開を見せた。「一家心中」の可能性が高いことが分かっただけでなく、現場となった焼け跡から死後1年以上たった「5人目の遺体」が見つかったのだ。関係者を訪ね、「一家心中」にいたるまでの彼らの生活を追った。この一家で何が起きていたのか。
4人全員から灯油の臭い
警視庁によると、火災は5月9日午前3時15分ごろに発生。東村山市多摩湖町の2階建て住宅約80平方メートルが全焼し、無職の父親(65)と母親(64)、次男(36)と四男(26)が一酸化炭素中毒で死亡した(年齢はいずれも当時)。
現場は凄絶(せいぜつ)なものだった。
捜査関係者によると、父親は1階で灯油をまくとともに、自分自身と家族3人にも灯油をかけた後にライターで着火したとみられる。
4人は同じ2階和室であおむけに倒れていた。いずれもやけどをしていたが、父親のやけどが最もひどかったという。全員の衣服に灯油の臭いが残っていた。普段はたばこを吸わない父親の衣服からは、着火に使われたとみられるライターも発見された。
4人が民家から逃げ出そうとした形跡は確認されていない。捜査幹部は「灯油をかけられたら普通は起きて逃げようとするはず。全員が煙を吸って一酸化炭素中毒で亡くなっていることを考えると、同意していたと考えるのが自然だ」と話す。警視庁は「一家心中」の見方を強めている。
出火の約20分前には警視庁のホームページの情報提供窓口に「放火焼身心中」というメッセージが送られていた。送り主の欄には一家の名字が平仮名で記されており、一家の誰かが送信した可能性が高いとみられる。
現場から「5人目の死者」
4人が一家心中を図ったとすれば、その動機は何だったのか。火災から15日後の5月24日、謎はさらに深まることになる。焼け跡となった住宅の解体作業中に、1階にある3畳ほどの洋間から毛布のようなものにくるまれた遺体が見つかったのだ。「5人目の死者」だった。
遺体は、長期間空気に触れないことで皮下脂肪がろうのように変化する「屍蝋(しろう)化」した状態で、明らかな外傷はなかった。
警視庁は6月10日、DNA型鑑定をした結果、遺体の身元は別居しているとされていた三男であると発表。火災発生の時点まで生きていれば30歳だったが、司法解剖で死後1年以上が経過しており、火災前に死亡していたとみられることが分かった。
死因は特定できなかった。
三男は16年夏に死亡か
取材を続けると、三男が亡くなった後、一家の暮らしが少しずつ暗転していったことが見えてきた。
知人らによると、三男はミュージシャン志望で、GACKTさんに憧れていた。
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