思いの丈を叫び尽くす、吉田羊の新境地を見せたい
──吉田さんは初めてシェイクスピア作品に出演されますね。 吉田 実はシェイクスピア自体に苦手意識があって敬遠してきたものですから、一生縁がないと思っていたんです。でも来年芸歴25周年を迎える節目のタイミングで、あちらの方からやって来てくださったということは……「原点に帰りなさい」という演劇の神様からのメッセージかな、と思って挑戦することにしました。 ──なぜシェイクスピアを敬遠されてきたのでしょうか? 吉田 これまで観客の立場で拝見してきましたが、シェイクスピア作品には俳優の鍛錬と演出家の想像力が求められると感じておりまして。役者の場合、レトリックの多い長ゼリフを朗々と発したり肉体的にも精神的にも大変そうですよね。自分にできるだろうか……と不安を覚える一方で、俳優なら一度は挑戦すべきハードルとも考えていて。シェイクスピアは、作品に選ばれて初めてトライできる感覚がずっとありました。今回のブルータス役を機に、自分を更新していきたいですね。 ──森さんが、主人公ブルータスに吉田さんを指名した理由は? 森 羊さんのお顔がパッとひらめいたんです。これまで仕事でご一緒したことはありませんが、出演作を拝見すると、羊さんは考えていることを表に出さない人物の芝居が非常にうまい。同時に、こうした抑えた芝居が効くのは心の中にものすごく「激しいもの」を秘めているからなんだろうな、とも感じまして。これほど熱いものをお持ちの方にはシェイクスピアに出てもらわないといけない。むしろご経験がないことの方が不思議でして。 吉田 ふふふ(笑)。シェイクスピアの登場人物って、心の中をすべて口に出してしまう激しさがありますよね。たとえばブルータスなら「愛する仲間(シーザー)を正義のために殺さねばならぬのだ!」と決意するまで、ありとあらゆる比喩や修飾語を駆使して葛藤や苦悩を語るわけで。 森 そうなんですよ! 思いの丈をこれほど叫び尽くす吉田羊は見たことがない、とお客さんに新境地をお見せして驚いてもらう方がおもしろいんじゃないかな。羊さんを別のフィールドへ引っ張り出したい。そう思ってオファーさせてもらいました。さらにこれだけ叫んでも本音がわからないブルータスの底知れなさも感じさせてくれそうだな、って。
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