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Wednesday, September 8, 2021

2015年 130人犠牲のパリ同時テロ事件 裁判始まる - NHK NEWS WEB

同時テロ事件の遺族や現場に居合わせた人たちは、さまざまな思いで裁判を受け止めています。

パリに住むステファン・サラドさん(56)の息子のユーゴさん(当時23)は、コンサートホールでテロの犠牲になった90人のうちの1人です。地方の大学院で人工知能について学んでいたユーゴさんは、父親の出張に同行して訪れた日本の文化や先端技術に関心を持ち、将来は日本で研究を進めたいと考えていました。

サラドさんは息子の思いを受け継ごうと、事件の翌年、科学の分野で日本へ留学する学生を支援する奨学金制度を立ち上げ、広く寄付を募ってこれまでに4人の学生を送り出しました。学生たちが日本で生き生きと学ぶ姿が、今は生きる力になっているといいます。

来月法廷で証言する予定のサラドさんは、被告に対して、テロには決して屈しないという強い思いを訴えることを決めています。

サラドさんは「訴えたいのは、息子は私たちを通じて生き続けているということです。私たちはしっかり生きていて、被告たちが勝利することはできなかったのだということを訴えたい」と話していました。

また、中学校の歴史の教師でイスラム研究者でもあるクリストフ・ノダンさん(45)はコンサートホールにいて、一緒にいた友人が犠牲になりました。何人もの遺体が横たわる光景や、銃を乱射する実行犯のまなざしが頭から離れず、PTSD=心的外傷後ストレス障害と診断されました。

6年がたった今、ノダンさんが懸念を深めているのは、フランスでテロが起きるたびに強まる、イスラム教徒に対するいわれのない差別や偏見だと言います。

ノダンさんは「テロリストは社会を分断するのが目的です。反イスラム感情が高まることはテロリストの勝利なのです。裁判によって組織的に計画されたテロという事実が明らかになることで、イスラム教徒イコール、テロリストといった誤解が解けることに期待したい」と話していました。

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