米連邦準備制度理事会(FRB)が6月16日に公表した経済・金利見通しで、事実上のゼロ金利政策の解除を2023年に前倒しするシナリオを示した。この動きを受け、NYダウは5営業日連続の下落を記録。東京株式市場にもその波が襲い、投資家たちに動揺が走った。株価はいったん戻したものの、「潮目が変わった」と見る向きは多い。迷える個人投資家たちの「これからの投資戦略」とは──。
2020年3月3日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.5%引き下げるというサプライズ発表後、米国連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長はワシントンで記者会見を行った
価格高騰からのコモディティ急落はなぜ起きたか
ごく最近まで、新聞やテレビなどでもコモディティ価格の高騰が取り上げられ、インフレ懸念を想起させるような取り扱いだった。ところがここにきて、主要なコモディティが急落している。
インフレに強いとされる金相場は高値から大きく値を下げ、金と同じ貴金属であるプラチナやパラジウム、さらに非鉄金属の銅なども軒並み下げている。また、住宅向け資材不足で木材価格が高騰し、「ウッドショック」と呼ばれた現象もいまや沈静化。高値から大きく値を下げている。
さらに、トウモロコシや大豆などの農産物も需要回復などを材料に大きく値を上げていたが、ピークを付けたあとは急落している。
これまで、新型コロナワクチン接種の進捗で景気回復が進み、「需要が拡大する」との見方がコモディティ価格を押し上げていた。しかし、ここにきて急速に地合いを悪化させている。いったい何があったのだろうか。
市場は材料を先取りして動く
コモディティには「実需」がある。コモディティは実際に消費されるため、景気回復に伴い需要が増加するのが一般的な考え方である。
確かに、今回のコロナワクチン接種の進捗は、将来のコモディティ需要の回復を想起させるのに十分な材料だったといえる。
市場は材料を先取りして動くことが少なくない。とはいえ、いますぐに需要が拡大し、供給が追いつかなくなるわけではない。それも価格が短期間で数十パーセントも上昇するような需給逼迫の状況に一夜にしてなることはあり得ない。
しかし、コモディティ価格は、いったん方向性が出ると、その方向に進みやすい特性がある。それは、将来の需給見通しに敏感に反応した結果である。重要な需給見通しの発表後に、一時的に価格が大きく動くことも確かに少なくはない。
このように、需給要因によってコモディティ価格は短期間で変動しやすい特性がある。
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